【歯科医師勉強】嗅覚と味覚について
今回は前回に引き続き生理学で学んだ内容をアウトプットもかねてお話していきたいと思います。味覚と嗅覚といった身近な内容でとても面白かったので是非ご覧ください!
まず感覚受容器にはそれぞれ得意の守備範囲があり、ある受容器に最適な刺激を適刺激という。視覚の適刺激は光、聴覚の適刺激は音、味覚の適刺激は水溶性化学物質、聴覚の適刺激は揮発化学物質である。
一次感覚野はそれぞれ対応する脳の部位が異なっており、体性感覚野は頭頂葉、視覚野は後頭葉、聴覚野は側頭葉、味覚野は頭頂葉、嗅覚野は梨状皮質である。
感覚器で受けた感覚情報は皮質の一次感覚野に行って、連合野まで行き、過去の記憶と照合して感覚の性質を認識する。
感覚情報は大脳皮質感覚野や視床下部、大脳辺縁系に行くことで情動が生じる。
情動は、快・不快、怒りや喜びといった行動を起こすきっかけとなる強い感情のことであり、個体の生命維持に必要な食物や環境を選択する行動の動機づけとなる。
「味覚と嗅覚について」
味覚や嗅覚では、水に溶解した化学物質が感覚上皮に作用することで感覚が生じる。
味覚情報や嗅覚情報は、感覚野や視床下部に到達して特有の感覚や情動が生じる。
味覚の役割について
味覚の生理的役割として、消化管の入り口としてのゲートキーパーの役割と、栄養物の消化と吸収を促進する役割の2つがある。
前者では、まずいと感じると吐き出し、おいしいと感じるともっと食べようとする。
後者では、中枢神経に伝わってから消化液や唾液の分泌を促進して消化・吸収の準備をする。
味覚の分類について
元々は4基本味説であったが近年では5基本味説となっている。
分類として甘味、酸味、苦味、塩味、うま味がある。
甘味はエネルギー源(ショ糖やアスパルテーム)を感知する。
酸味は酸敗物(腐ってるものや、酢酸、クエン酸など)を感知する。
苦味は毒物(カフェインや塩酸キニーネなど)を感知する。
塩味はミネラル源(主にNa⁺)を感知する。
うま味はアミノ酸(グルタミン酸)や核酸(イノシン酸)を感知する。
特徴:順応性が高い(ずっと口の中に入れてるとわからなくなる)
唾液のNa⁺濃度より高くないと塩味を感じない。
(注)・アスパルテームはう蝕の原因にはならない。
・酸味の強さは、必ずしも㏗に依存しない。
・カフェインは中枢神経を刺激することで眠気や疲労感をとる。
薬の効果を高めるためにも使われる。 ・単純脂質には中性脂肪などがあり、中性脂肪自体は味がしないと
されているが、加水分解により生じた脂肪酸は口腔内で検知可能。
味覚の閾値について
水から濃度を上げていった時に水じゃないと感じた時の濃度を検知閾値といい、
甘未などの味覚を感じた時の濃度を認知閾値という。
甘味、塩味に比べて酸味、苦味は低い濃度でも味を検知できる。
味覚受容器について
味は味蕾構造で感受する。(糸状乳頭にはない)
茸状・状乳頭は鼓索神経(顔面神経)支配で、葉状・有郭乳頭は舌咽神経支配である。
水に溶けた化学物質が味孔に入って味細胞に作用してシナプスを介して伝わり、舌咽・鼓索神経が中枢神経系の延髄の孤束核に入っていき、孤束核から視床を経由して大脳皮質の味覚野へ情報がいく。
(参考)味物質の受容と細胞内情報伝達機構について
リガンドがそれぞれの受容体に結合して、Gタンパク質を介してホスホリパーゼCβ2を 活性化することでDAGとIP3産生が増える。IP3は小胞体内のIP3受容体を介して小胞体からのCa⁺の放出を行うことで細胞内のCa⁺濃度が上昇する。これによりTRPM5が開口してNa⁺が流入することで電位依存性Na⁺チャネルが活性化して活動電位が発生する。
活動電位により伝達物質のATPが放出されて、求心性線維にEPSPが生じて興奮に繋がる。(EPSP=興奮性シナプス後電位)