【歯科医師勉強・生理学】内分泌1について
今回は内分泌について学んでいきました。
生理学の中でも重要な所であるので中々重かったですが詳しく学ぶことが出来たので是非ご覧ください!
では早速見ていきましょう!
一般に内分泌腺と扱われるものには下垂体、甲状腺、上皮小体、膵臓(ランゲルハンス島)、副腎、精巣と卵巣(性腺)、松果体がある。
また視床下部や心臓、腎臓、消化管、胎生期胎盤からもホルモンが分泌されている。
「分泌タイプ」
・内分泌(ホルモン):血管内に伝達物質を分泌すること。通常の内分泌器官で見られる。
・神経内分泌:軸索内輸送により血管内に分泌すること。下垂体後葉ホルモンなど。
・傍分泌:細胞の近くに分泌すること(細胞間伝達)。サイトカインなど。
・自己分泌:自己に分泌すること。
ホルモンの分類について
『構造による分類』
1.アミン型(チロシンから合成)
カテコールアミン:水溶性であり、受容体は細胞膜に存在する。
(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)
2.ペプチド型
多くのホルモンがこの型であり、ペプチド結合している。水溶性であり、受容体は細胞膜にある。
3.ステロイド型
副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどがあり、コレステロールから合成されて作られる。
脂溶性であり、受容体は細胞質や核にある。
『作用機序による分類』
カテコラミンやペプチド型ホルモンは細胞表面にある受容体に結合して
酵素(ACやPLC)を活性化して、基質(ATPやPIP₂)からセカンド
タンパク質がリン酸化し、生理作用を及ぼしていく。
他のペプチド型ホルモンは、受容体が二量体化することで酵素部分が
活性化されてリン酸化する。そして生理作用を及ぼしていく。
ステロイド型ホルモンや甲状腺ホルモンは細胞膜を通過して細胞質や
核にある受容体に結合して、DNAにある応答性エレメントにくっついて
転写を活性化していく。そしてmRNAができてタンパク質合成が促進
または抑制されたりして、その後生理作用を及ぼしていく。
『階層性の負のフィードバック制御』
視床下部分泌されたACTH放出ホルモンが下垂体前葉を刺激することで
ACTHを分泌する。このACTHは副腎皮質に行くことで糖質コルチコイドが 図
分泌される。これは血液に乗って視床下部や下垂体前葉に行ってネガティブ
フィードバック(抑制)を起こすように働く。これにより一定量となる。
これを長環ループという。
下垂体前葉から出たものが下垂体前葉をフィードバック(抑制)する
超短環ループというものもある。
視床下部―下垂体系について
間脳にある視床下部の神経細胞からホルモンが血管に分泌される。これが下垂体門脈を伝わって下垂体前葉まで来て、下垂体前葉の細胞に作用することで下垂体前葉ホルモンが 分泌されて血管に乗って末梢内分泌腺に至る。
『成長ホルモン』
骨をはじめとする全身の組織の成長を促進したり、成長に必要な蛋白同化の為の代謝作用をもつ。インスリン様成長因子IGFはインスリンと同様に細胞増殖促進作用および代謝に対して同化作用をもち、成長ホルモンの作用の多くはIGFにより仲介されると考えられる。
- 成長促進作用
成長は細胞分裂による増殖と分化による為、骨格筋など多くの組織のDNA合成や細胞増殖を促進する。成長ホルモンの効果が最も顕著に表れる組織は長管骨や骨端軟骨である。
思春期の成長では男女ともにエストロゲンの分泌が亢進されて、エストロゲンが成長ホルモンの分泌を亢進して成長を促進する。
ただし、胎児期や新生児期の成長には成長ホルモンやIGF-1は依存しない。
②代謝に対する作用
タンパク質の同化、糖代謝に対する作用、脂質代謝に対する作用、電解質代謝に対する作用がある。
『プロラクチン(乳汁刺激ホルモン)』
乳腺を発達させたり、乳汁の産生や分泌促進作用がある。
乳頭の吸引刺激により分泌が促進される。またPRHやPIH(プロラクチン抑制ホルモン)が調節因子としてあり、PRHにより分泌が促進され、PIHにより分泌が抑制される。
『副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)』
副腎皮質に作用してグルココルチコイドの合成や分泌を促進する。
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンやストレスにより分泌が促進する一方で、
グルココルチコイドによるネガティブフィードバックもある。
『甲状腺刺激ホルモン(TSH)』
甲状腺の濾胞細胞に作用して甲状腺ホルモンの合成や分泌を促進する。
TRHによる促進、甲状腺ホルモンによるネガティブフィードバックがある。
『性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)』
性腺刺激ホルモンには黄体形成ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性
ゴナドトロピン(hCG)がある。
LHやFSHは脳下垂体前葉の同一の細胞、つまり塩基好性細胞で合成・分泌される。
hCGは妊娠中の胎盤から分泌され、妊娠の時のみ合成される。
LH、FSH、hCGはα、βのヘテロ二量体の糖タンパク質である。
またLHの血中半減期は20分、FSHは3~4時間、hCGは24~30時間である。
LHの1~2時間間隔の律動的分泌はゴナドトロピン放出ホルモン
(GnSH)のパルス状分泌による。FSHは半減期が長いため、
パルス状分泌は不明瞭になる。GnSHは短いペプチドの為、
血中半減期は数分になる。
『性腺ホルモン』
ステロイドホルモンであり、性ステロイドホルモンとしてエストロゲン、プロゲステロン、
アンドロゲンがある。血中ではタンパク質と結合して運ばれており、生理活性を持つ遊離型
は1~5%である。
①卵胞ホルモン(エストロゲン)
卵巣や胎盤で主として合成され、副腎皮質や精巣でも少量だけ合成される。
作用としては、女性の副生殖器官の発育や機能を促進することがあり、また第二次性徴の
視床下部や下垂体には、GnSH・LH・FSHによる分泌抑制の負のフィードバックがある。
排卵直前のみ正のフィードバックによりLHやFSHの分泌を著しく亢進(LHサージ)し、
排卵を誘発する。
また骨吸収の抑制や骨形成促進がある為に、閉経後の女性は骨粗鬆症を起こしやすい。
②黄体ホルモン(プロゲステロン)
卵巣、胎盤で主として合成される。プロゲステロンは全てのステロイドホルモンの中間産物
であり、精巣のライディッヒ細胞や副腎皮質でも産生され、一部血中に分泌される。
受精卵の着床、妊娠の維持に必須で、妊娠中の黄体から大量に分泌される。
妊娠の維持の為に子宮運動を抑制する。また、視床下部や下垂体への負のフィードバックに
よるLH、FSHの分泌抑制や、エストロゲンの発情誘起作用に拮抗したりする。
これらは全て妊娠を維持させるように働く。
体温中枢に作用することで体温を上昇させ、月経周期の黄体期の体温上昇を招く。