うってぃの備忘録

税理士資格取得を目指す歯学部生の日常です!

【歯科医師勉強・生理学】内分泌2について

今回は以前学んだ内分泌1の続きをやっていきました。

まだ内分泌1の記事をご覧になっていない方はまずは以下のリンクからそちらをご覧ください。

では早速見ていきましょう!

 

 

成長ホルモンの分泌異常について

分泌亢進症により分泌が亢進すると巨人症先端肥大症が起こる。

先端肥大症では骨、舌、口唇、鼻などの軟部組織が肥大したり手足が肥大したりする。

遺伝性、出生時の損傷、頭部外傷などでの分泌不全症では小人症が起こる。

疲労性、集中力低下、性欲低下、筋肉量減少、脂質代謝異常、耐糖能異常、骨塩量減少などの症状がある。

 

副腎について

副腎皮質から分泌されるステロイド様物質の総称をコルチコイドという。

球状帯からはミネラル(電解質)コルチコイド、つまりアルドステロンを出す。

アルドステロンはNa⁺再吸収やK⁺分泌を行う。

束状帯からはグルコ(糖質)コルチコイドを出し、血糖上昇や抗体産生低下、   

肉芽形成抑制を行う。

網状帯からは性ホルモンが出る。男性・卵巣・黄体ホルモンなどがある。

 

(参考)

副腎皮質ホルモンはすべてコレステロールから合成される。コレステロールミトコンドリア内膜に運搬されてそこで酵素CYP11A1によってプレグネノロンに変換される。

 

副腎皮質ホルモンの作用について

生命維持に必須であり、副腎を摘出すると数日のうちに死亡する。

電解質コルチコイド(アルドステロン)は腎臓、唾液腺、汗腺に作用する。

体液量調節を行い、腎臓でNa⁺再吸収やK⁺排出を行う。

レニンーアンギオテンシンーアルドステロン(RAA)系により調節される。

アジソン病:副腎皮質機能低下症であり、グルココルチコイドやミネラルコルチコイドを

低下する。低血糖、低血圧、心筋委縮、低Na血症、皮膚色相沈着が生じる。

 

原発性アルドステロン症:副腎皮質の過形成、腺腫、癌によりアルドステロンの産生が                                            増加することで高Na⁺血症、細胞外液増加による高血圧や低K⁺                                            血症が起こる。アルドステロンはHポンプを活性化してH分泌                                            を促進するためアルカローシスとなる。

 

クッシング症候群:下垂体や副腎の腫瘍、異所性ACTH産生腫瘍によるグルココルチコイドの過剰産生が起こる。グルココルチコイドは弱いながらも電解質

コルチコイド作用を持ち、アルドステロンが増えたような効果が出る。

糖質コルチコイド(主なものはコルチゾール)は糖新生促進を行い、アミノ酸ブドウ糖の取り込みを阻害したり、タンパク質合成を抑制、中性脂肪の生合成の抑制を行う。

抗炎症作用や抗アレルギー作用、抗ストレス作用、抗ショック作用がある。

ビタミンDと拮抗して腸からのCa²⁺吸収を阻害、骨芽細胞の分化増殖を抑制することで

骨重量が減少する。また消化性潰瘍の原因(胃酸分泌促進、胃粘液分泌抑制)となる。

ステロイド剤を長期投与すると機能亢進症(クッシング症候群)が起こる。

機能低下症ではアジソン病や副腎クリーゼがあり、副腎クリーゼでは感染や出血により

急激に副腎皮質機能を低下した危機的状態を招く。

 

<補足>クッシング症候群

下垂体や副腎の腫瘍、異所性ACTH産生腫瘍によるコルチコイドの過剰産生により起こる。

20~40歳代の女性に多い。症状としては満月様顔貌、中心性肥満(体幹肥満)、タンパク質減少、皮膚の菲薄化高血圧高血糖骨粗鬆症精神障害がある。

またステロイド骨粗鬆症大腿骨頭壊死を起こすことがある。

 

<補足>骨粗鬆症

骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート(BP)は第一選択薬として多用されている。BP製剤による副作用として顎骨壊死があり、また非定型大腿骨骨折もBP製剤との関係がある

大腿骨近位部骨折の原因としてステロイド、BP製剤、プロトンポンプ阻害薬PPI)の

関連がある。

 

3種類のグルココルチコイド(GC)について

コルチコステロGC活性の5%を担う。血中濃度は0.2~50ng/mlである。マウスや

ラットではコルチコステロンが唯一の糖質コルチコイドである。

コルチゾール(ハイドロコルチゾン)GC活性の95%を担う。血中濃度7~20μg/dlで

ある。人、イヌ、猫はコルチゾールが主である。

コルチゾン:不活性型であり、副腎では合成されない。主に腎臓でコルチゾールが作られる。

またコルチゾンは主に肝臓でコルチゾールに戻される。

 

副腎アンドロゲンについて

副腎アンドロゲンは網状帯からDHEA、アンドロステンジオンが分泌され、末梢でテストステロンやエストロゲンに変換されて性ホルモンとして作用する。

正常成熟男性では男性化、タンパク合成促進、成長促進作用の生理的意義は大きくない。思春期前に過剰分泌されると二次性徴の早熟が起こる。

女性では男性ホルモンの重要な供給源となっており、思春期に分泌が増加して腋毛、恥毛の発達が起こる。卵巣機能が低下した更年期以後の女性では副腎が主たるテストステロンの供給源となる。異常には先天性副腎過形成がある。

 

副腎髄質について

クロム塩で染色すると褐色を呈する細胞であるクロム親和性細胞がある。

クロム親和性細胞がもつ顆粒は、85%がアドレナリン(エピネフリン、15%がノルアドレナリン(ノルエピネフリン)である。アミノ酸チロシンから誘導された、カテコールと

アミンを有する化学種をカテコールアミンといい、ドーパミンノルアドレナリン、アドレナリンがある。

血中では、アドレナリンは20~50pg/ml(副腎髄質由来)、ノルアドレナリンは100~300pg/ml(大部分は交感神経由来)である。血中のカテコールアミンの50%は血漿タンパク質と結合している。副腎髄質は交感神経節で同じであると考えると分かりやすい。

血中に分泌されたカテコールアミンは主に肝臓COMTMAO代謝される。

 

膵臓について

膵臓では外分泌、内分泌がある。

ランゲルハンス島(膵島)の直径は100μmで20万~200万個あり、膵臓全体の2%を

占める。

A(α)細胞は15~20%あり、グルカゴンにより血糖上昇が起こる。

B(β)細胞は最も多く(60~75%)、血糖を低下さす唯一のホルモンであるインシュリンを分泌する。

D(δ)細胞は5%あり、ソマトスタチンを出す。ソマトスタチンはインシュリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌を抑制する。傍分泌作用があり、また視床下部や消化管の内分泌細胞(δ細胞)からも分泌する。

 

(補足)グルカゴン

作用は糖新生促進であり肝臓でのグリコーゲン分解促進や血糖上昇、肝臓でのタンパク質や脂肪分解促進を行う。血中アミノ酸や遊離脂肪酸の増加を行い、糖新生の材料とする。

調節は、低血糖で分泌促進、血糖上昇で抑制、交感・副交感神経興奮で分泌促進、ストレスによる分泌促進などがある。

 

(補足)ソマトスタチン

抑制性ホルモンであるので、作用はとにかく抑制である。

膵臓からのインシュリン、グルカゴンの分泌抑制や胃酸分泌抑制(壁細胞)、消化管からのガストリン、セクレチン、VIPの分泌抑制を行う。

 

(補足)インスリンと分泌機序(重要)

B細胞でのみ合成される。A鎖、B鎖、C peptide(プレプロインスリン)からなる。

血糖を下げる唯一のホルモンである。糖、タンパク、脂質を同化する。細胞増殖促進を行う。

また筋組織や脂肪組織でK⁺の取り込み促進を行う。

分泌機序では、血糖が増加するとグルコース輸送体(GLUT2)により細胞内へのグルコース流入が増加し、解糖系で分解されることで細胞内ATP濃度が増加する。これによりATP感受性K⁺チャネルを不活性化して脱分極が生じることで、電位依存性Ca²⁺チャネルが活性化してCa²⁺が細胞内に入ってくることで細胞内Ca²⁺濃度が上昇してインスリン分泌が起こる。もし副交感神経が興奮した時にはムスカリン性受容体に結合することで細胞内Ca²⁺が上昇してインスリン分泌が起こる。

 

【歯科医師勉強・生理学】内分泌1について

今回は内分泌について学んでいきました。

生理学の中でも重要な所であるので中々重かったですが詳しく学ぶことが出来たので是非ご覧ください!

では早速見ていきましょう!

 

一般に内分泌腺と扱われるものには下垂体、甲状腺上皮小体膵臓(ランゲルハンス島)、副腎、精巣と卵巣(性腺)、松果体がある。

また視床下部や心臓、腎臓、消化管、胎生期胎盤からもホルモンが分泌されている。

分泌タイプ

内分泌(ホルモン):血管内に伝達物質を分泌すること。通常の内分泌器官で見られる。

神経内分泌:軸索内輸送により血管内に分泌すること。下垂体後葉ホルモンなど。

傍分泌:細胞の近くに分泌すること(細胞間伝達)。サイトカインなど。

自己分泌:自己に分泌すること。

 

ホルモンの分類について

 

構造による分類

1.アミン型チロシンから合成)

カテコールアミン:水溶性であり、受容体は細胞膜に存在する。

(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)

甲状腺ホルモン脂溶性であり、受容体は細胞質や核にある。

 

2.ペプチド型

多くのホルモンがこの型であり、ペプチド結合している。水溶性であり、受容体は細胞膜にある。

 

3.ステロイド

副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどがあり、コレステロールから合成されて作られる。

脂溶性であり、受容体は細胞質や核にある。

 

 

 

作用機序による分類

カテコラミンペプチド型ホルモンは細胞表面にある受容体に結合して

酵素(ACやPLC)を活性化して、基質(ATPやPIP₂)からセカンド

メッセンジャーを産生することでリン酸化酵素が活性化して、

タンパク質がリン酸化し、生理作用を及ぼしていく。

他のペプチド型ホルモンは、受容体が二量体化することで酵素部分が   

活性化されてリン酸化する。そして生理作用を及ぼしていく。

ステロイド型ホルモンや甲状腺ホルモンは細胞膜を通過して細胞質や

核にある受容体に結合して、DNAにある応答性エレメントにくっついて

転写を活性化していく。そしてmRNAができてタンパク質合成が促進

または抑制されたりして、その後生理作用を及ぼしていく。

 

階層性の負のフィードバック制御

視床下部分泌されたACTH放出ホルモンが下垂体前葉を刺激することで

ACTHを分泌する。このACTHは副腎皮質に行くことで糖質コルチコイドが 図

分泌される。これは血液に乗って視床下部や下垂体前葉に行ってネガティブ

フィードバック(抑制)を起こすように働く。これにより一定量となる。

これを長環ループという。

下垂体前葉から出たものが下垂体前葉をフィードバック(抑制)する

超短環ループというものもある。

 

視床下部―下垂体系について

間脳にある視床下部神経細胞からホルモンが血管に分泌される。これが下垂体門脈を伝わって下垂体前葉まで来て、下垂体前葉の細胞に作用することで下垂体前葉ホルモンが 分泌されて血管に乗って末梢内分泌腺に至る。

 

成長ホルモン

骨をはじめとする全身の組織の成長を促進したり、成長に必要な蛋白同化の為の代謝作用をもつ。インスリン様成長因子IGFインスリンと同様に細胞増殖促進作用および代謝に対して同化作用をもち、成長ホルモンの作用の多くはIGFにより仲介されると考えられる。

  • 成長促進作用

成長は細胞分裂による増殖と分化による為、骨格筋など多くの組織のDNA合成や細胞増殖を促進する。成長ホルモンの効果が最も顕著に表れる組織は長管骨や骨端軟骨である。

思春期の成長では男女ともにエストロゲンの分泌が亢進されて、エストロゲンが成長ホルモンの分泌を亢進して成長を促進する。

ただし、胎児期や新生児期の成長には成長ホルモンやIGF-1は依存しない。

 

代謝に対する作用

タンパク質の同化、糖代謝に対する作用、脂質代謝に対する作用、電解質代謝に対する作用がある。

 

プロラクチン(乳汁刺激ホルモン)

乳腺を発達させたり、乳汁の産生や分泌促進作用がある。

乳頭の吸引刺激により分泌が促進される。またPRHPIH(プロラクチン抑制ホルモン)が調節因子としてあり、PRHにより分泌が促進され、PIHにより分泌が抑制される。

 

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

副腎皮質に作用してグルココルチコイドの合成や分泌を促進する。

副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンストレスにより分泌が促進する一方で、

グルココルチコイドによるネガティブフィードバックもある。

 

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺の濾胞細胞に作用して甲状腺ホルモンの合成や分泌を促進する。

TRHによる促進、甲状腺ホルモンによるネガティブフィードバックがある。

 

『性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)』

性腺刺激ホルモンには黄体形成ホルモン(LH卵胞刺激ホルモン(FSH)ヒト絨毛性

ゴナドトロピン(hCG)がある。

LHFSHは脳下垂体前葉の同一の細胞、つまり塩基好性細胞で合成・分泌される。

hCGは妊娠中の胎盤から分泌され、妊娠の時のみ合成される。

LH、FSH、hCGはα、βのヘテロ二量体の糖タンパク質である。

またLHの血中半減期20分、FSHは3~4時間、hCGは24~30時間である。

LHの1~2時間間隔の律動的分泌はゴナドトロピン放出ホルモン

(GnSH)のパルス状分泌による。FSHは半減期が長いため、

パルス状分泌は不明瞭になる。GnSHは短いペプチドの為、           

血中半減期は数分になる。

性腺ホルモン

ステロイドホルモンであり、性ステロイドホルモンとしてエストロゲンプロゲステロン

アンドロゲンがある。血中ではタンパク質と結合して運ばれており、生理活性を持つ遊離型

は1~5%である。

卵胞ホルモン(エストロゲン

卵巣や胎盤で主として合成され、副腎皮質や精巣でも少量だけ合成される。

作用としては、女性の副生殖器官の発育や機能を促進することがあり、また第二次性徴の

発現や排卵のためのLHサージを引き起こすなどがある。

視床下部や下垂体には、GnSH・LH・FSHによる分泌抑制の負のフィードバックがある。

排卵直前のみ正のフィードバックによりLHやFSHの分泌を著しく亢進(LHサージ)し、

排卵を誘発する。

また骨吸収の抑制や骨形成促進がある為に、閉経後の女性は骨粗鬆症を起こしやすい。

 

②黄体ホルモン(プロゲステロン

卵巣、胎盤で主として合成される。プロゲステロンは全てのステロイドホルモンの中間産物

であり、精巣のライディッヒ細胞や副腎皮質でも産生され、一部血中に分泌される。

受精卵の着床、妊娠の維持に必須で、妊娠中の黄体から大量に分泌される。

妊娠の維持の為に子宮運動を抑制する。また、視床下部や下垂体への負のフィードバックに

よるLH、FSHの分泌抑制や、エストロゲンの発情誘起作用に拮抗したりする。

これらは全て妊娠を維持させるように働く。

体温中枢に作用することで体温を上昇させ、月経周期の黄体期の体温上昇を招く。

【歯科医師勉強・生理学】嚥下(2)について

今回は以前の「嚥下1」の続きで、嚥下についてさらに詳しく学んでいきました。

まだ嚥下1を見ていない方は以下のリンクから先にそちらをご覧ください!

 

utti-memorandum.hatenablog.com

では早速見ていきましょう!

 

摂食・嚥下の5期(5期モデル)について

嚥下・摂食の一連の流れ

摂食・嚥下は以下の5段階で進むとする考えかたがあり、認知期(先行期)準備期(咀嚼期)口腔期咽頭食道期がある。

 

 

認知期食物を認識して口腔内に送り込む時期であり、口腔内にまだ食物は入っていない

     感覚情報を経験、記憶、環境などと照合して摂食の可否判断を行う。

    食具を把握して認知した食物を口まで運ぶ過程も含まれる。視覚・嗅覚・聴覚・

触覚等の感覚系大脳皮質視床下部(食欲の中枢)、扁桃体(食物摂取の可否

判断に影響)が関与している。

 

準備期口腔内で食物を粉砕して食塊を形成する時期で、先行期を経て固形物や液体の食物    

    を口腔内に取り込んだ後の段階。固形物であれば咀嚼によって唾液と混合して

食塊を形成する(舌と口蓋で食物を押し潰すことも)。食塊は舌背の上で嚥下し易   

い量や形にまとめられる。一方で食塊を保持して咽頭への流入を防ぐ。随意運動である。

 

口腔期嚥下が開始されて食塊を口腔から咽頭へ移送する時期で、主に舌筋の働きで食塊を口腔から咽頭へ移送する。舌を硬口蓋へ押し付けて後方へ移動させることで口腔内圧を高めることによりこの内圧で食塊を咽頭に押し込む。口腔期までは随意的に

制御可能(随意運動)である。

 

咽頭食塊が咽頭を経由して食道へ移送される時期であり、嚥下反射により食物を飲み

下す(咽頭から食道へ約1秒)。咽頭期は食塊が咽頭に触れて反射的に起こる。

咽頭期からは完全な反射となって、一度開始されると自分の意志で中断できない。

 

食道期食塊が食道を通過して胃に達するまでの時期であり、食塊は食道筋のうねるような動き(蠕動運動)により胃まで移送される(5~10秒かかる)。不随意運動である。

 

嚥下運動について

『嚥下時に見られる運動の種類』

嚥下時に見られる運動には大きく分けて気道の防御のための運動食塊の移送のための

運動がある。

 

 

気道の防御のための運動では鼻咽腔閉鎖喉頭口閉鎖声門閉鎖嚥下時無呼吸があり、

これらの運動や喉頭周辺の構造(梨状陥凹)により気道への食物の進入を阻止する。

 

鼻咽腔閉鎖(咽頭期):軟口蓋の挙上+上咽頭後壁の前方突出により食塊の鼻腔への進入を阻止して鼻腔を保護する。

喉頭口閉鎖(咽頭期)喉頭前上方移動に伴って喉頭蓋が反転下降することで食塊の気管への進入を阻止して気管気管支を保護する。

声門閉鎖(咽頭期)・嚥下時無呼吸(咽頭期):食塊の気管への進入を阻止して気管、気管支、肺を保護する。(喉頭口閉鎖とともに二重ロック)

 

 

食塊の移送のための運動には、食塊を移送するための推進力進行経路の拡張がある。

4回咀嚼してから嚥下運動をする。嚥下に伴い、喉頭とこれに連なる気管が前上方に挙上

するのに伴って食道入口部が開大するのが見られる。

 

食塊を移送するための推進力:舌の運動(舌背の狭窄運動、舌根部の後下方運動)

咽頭後壁の蠕動様運動(食塊を下に押し出す動き

食道の蠕動(蠕動により食塊は食道の下方へと押し出され)

進行経路の拡張:舌根の前方運動(咽頭部を拡大させる動き

        喉頭挙上(食道の入口部を拡大させる動き

 

『口腔期(嚥下第一期)の過程』

特徴

狭義の嚥下が開始される段階で、咀嚼などにより形成された食塊を口腔から咽頭へ移送

するステップである。口腔期の途中で嚥下が起こることがあり、これを挿入嚥下という。

従って口腔期と咽頭期は併せて口腔咽頭期と呼ぶことがある。

 

過程

食塊の保持:舌の前後、舌縁部を挙上

舌口蓋閉鎖口蓋垂の下垂と舌後方の挙上により口腔ー咽頭間(口腔咽頭境)を閉鎖

③舌の狭窄運動:舌筋(内舌筋・外舌筋)により舌尖部を口蓋皺襞部に押し当てる。この接

触点を支点として前方から後方に向かって順次舌背を口蓋へ押し当てて

いく(舌の狭窄運動)。食塊を後方へ移送する運動である。

④舌口蓋閉鎖が解除される。

口蓋帆挙筋が収縮して軟口蓋が後上方へ挙上する。また咽頭収縮筋が収縮して咽頭

後壁部が前方に移動する。

 

咽頭期(嚥下第二期)の過程

特徴

食塊を飲み下して咽頭から食道へ移送する段階であり、咽頭期ではものを飲み込む時の「ゴックン」という反射が起こる。意識的な反射惹起も可能だが、トリガー(咽頭)に食塊が達すると自然に嚥下反射が起こる。反射が起こる時は一時的に呼吸が停止し、

鼻咽腔が閉鎖して食物が鼻に抜けないようになっていて、咽頭収縮や舌骨・喉頭の挙上が起こって食道入口部が開大する。ここで嚥下が制御できないと誤嚥に繋がる。

 

過程

舌根部の前方運動:食塊が入るスペースを作る。

鼻咽腔閉鎖の完成:軟口蓋の挙上+上咽頭後壁の前方突出する。鼻咽腔は口腔期の後半から閉鎖する。

③中咽頭部に食塊が蓄積する。

④誘発刺激:食塊先端が口蓋垂下端を通過して咽頭粘膜(の粘膜受容器)に接触して

中枢性に嚥下反射が誘発される。

咽頭期の食塊への下方への推進力には舌根部の後下方移動咽頭の蠕動様運動がある。

喉頭の挙上:舌骨上筋群の収縮で喉頭・気管の挙上が起こる。

喉頭の挙上に伴う喉頭蓋の反転(喉頭口閉鎖)、声門閉鎖、肺からの呼気圧で気道の

防御(誤嚥の防止)を行う。

喉頭の挙上に伴う食道入口部開大と輪状咽頭筋(咽頭下部)の弛緩により食塊が食道に流入する。

 

食道期の過程について

特徴

重力や食道の蠕動により食塊が食道を経由して胃に達するまでの時期であり、食塊が

食道を通過するのは物性により異なるが液体では約3秒、固形物では約8秒とされてる。

蠕動は内圧の差をもたらし、圧差によって内容物を移送する。蠕動波は約40~160

㎝H₂Oの内圧である。蠕動は迷走神経を介して行われる。

 

過程

食道入口部が輪状咽頭筋の弛緩により開大して食道内に食塊が入り、蠕動により胃まで

輸送される(食道上部では速く、下部では遅い)。蠕動が胃に近づくと下部食道胃括約筋

が弛緩して食塊を通す。

逆流防止機構では食道の輪状筋の収縮下部食道胃括約筋の収縮がある。

下部食道胃括約筋の収縮では、胃の入口は正常者だと内圧は20~50cmH₂Oであり、食道

への逆流がある人だと内圧は1~5cmH₂Oである。

 

嚥下の制御機構について

嚥下中枢の特徴

嚥下中枢は延髄に分布しており、一定の部位に局在するのではなく、孤束核と延髄網様体

にある介在ニューロン群からなる。

嚥下中枢の入力部(起動神経群)には、上位中枢からの随意性の嚥下を誘発させる信号と

口腔・咽頭領域から反射性嚥下を誘発させる末梢性の感覚信号が入力する。

末梢性の反射性嚥下を誘発する信号は食塊の硬さ大きさ性状温度などの情報である。

三叉神経舌咽神経または喉頭神経(迷走神経)を介して起動神経群に入力される。

起動神経群が起動することで起動神経群に予め準備されている嚥下運動プログラム

従って出力部の神経群(切り替え神経)が順次興奮する。その出力によって三叉神経

運動核、顔面神経核、舌下神経核、疑核、迷走神経背側核が興奮し、これらの脳神経中の

運動神経によって一連の連続した嚥下運動が遂行される。

【雑談】大学生の新歓事情について

今年度がはじまってから二ヶ月ほど経ちました。

受験が終わって新たに大学生活が始まった新入生たちもそろそろ大学生活に慣れてきた頃と思います。

 

僕も1年生の時は

「新しい学校生活に新しい友達、新しい環境」

 

と色々な変化があり慣れるまで時間はかかりましたが、その時間もとても楽しかった記憶があります☺️

 

そんな中でも特に1年生に取ってのメインイベントはなんだったでしょうか?

 

僕は新歓だと思います!

 

サークルなどに入ることは大学生活の醍醐味でもあるので、1年生にとっても色んなサークルを巡ることはとても楽しくわくわくしたイベントでした。

僕も新歓をとても楽しんでました😊

(コロナで例年ほどの規模の新歓は体験出来ませんでしたが(;;))

 

そんな僕も今は新入生に対して新歓を行う立場になりました✨

新入生も色んな部活やサークルを回ってどこに入るか迷ったりして大変だと思いますが、新歓する側も思っているより大変です😅

やはり我々としても新たに新入生が入ってきてくれることはとても嬉しいことなので気合いの入り方が違います🔥

(部活の練習の時より熱量あるんちゃうかと思うこともあったが...😅)

 

どんだけ新たな部員を入れることが出来たかがその年の実績みたいにもなるのでどこの部活も全力でした!

 

しかしやはり新入生達の心をつかむことは難しいなと思うことは多かったですね💦

新入生たちが

 

この部活に入ってみたい!

 

と思えるようにするにはどうしたらいいのかを考えあぐねたりもしました。

 

結局これといった答えは出なかったのですが、こういった体験や考えたことは将来ビジネスや仕事などを行う時にとても生きてくるのではないかなとおもいました。

 

将来的にはやはりビジネスも展開していきたいと思っているので、来年は僕の代が幹部なので今年よりも多く入れれるような工夫を行えるように頑張ろうと思います!

 

【歯科医師勉強・生理学】嚥下(1)

今回は嚥下(1)について学んでいきました!

今回はそこまで突っ込んだ内容ではなく、解剖学で学んだ知識を主に復習した感じだったので忘れていた知識も振り返ることが出来ました!

では早速見ていきましょう!

 

嚥下の定義は、口腔内に摂取された固体や液体の栄養物もしくは唾液を咽頭、食道を経て胃に送り込む反射性の運動のことである。

嚥下の主な特徴

複数の運動が短時間に連続して実行される。

嚥下の反射中枢は延髄にある。脳血管障害や加齢に伴う運動や感覚機能の低下により嚥下機能も低下しやすい。咀嚼による食塊形成までの過程も嚥下に大きく影響を与える。

 

摂食・嚥下に関わる構造について

『脳頭蓋の構造的特徴』

脳頭蓋は頭蓋腔を作る骨のことであり、6種類8個である。

前頭骨:脳頭蓋の前方を構成する無対性の骨であり、前頭鱗、眼窩部、鼻部からなる。

     副鼻腔の前頭洞が中にある。

頭蓋骨:脳頭蓋の上方を形成する有対性の骨であり、ほぼ四角形で外面は凸面。頭頂部

には頭頂結節という膨らみがあり、それより下方には側頭筋が起こる上側頭

線や下側頭線がある。

側頭骨:脳頭蓋の外側と脳頭蓋底の一部を構成する有対性の骨であり、下部には頬骨突起

があり、頬骨とともに頬骨弓を形成する。頬骨突起の基底部には下顎窩と関節結

節がある。

後頭骨:脳頭蓋の後方を構成する無対性の骨であり、木の葉のような形で前下部には大後

頭孔が貫く。

蝶形骨:脳頭蓋底の中央にある無対性の骨であり、蝶が羽を広げたような形態である。

頭蓋のあらゆる骨と隣接してる。副鼻腔の蝶形骨洞が中に存在してる。

篩骨:脳頭蓋底の中央(蝶形骨の前、前頭骨の後下)にある無対性の骨であり、鼻腔の

上面と眼窩の内側壁を構成する。篩板には水平部があり、ふるいのような小孔があ

り、篩孔という。篩骨垂直板は鼻中隔の上方を構成している。

 

顔面頭蓋の構造的特徴

顔面頭蓋は、顔面をつくる骨のことであり、9種類15個である。

上顎骨:顔面部のほぼ中央にある一対の骨であり、上顎間縫合と正中口蓋縫合により結

合する。中心部の上顎体から上・下・内・外に前頭突起、歯槽突起、口蓋突起、

頬骨突起が出る。

補足

前頭突起:上方で前頭骨へ向かう。

歯槽突起:上顎の歯を植立する歯槽が存在する。

口蓋突起:左右が正中で合わさって硬口蓋の前部2/3を構成する。

頬骨突起:三角柱状の突起で、頬骨上顎縫合で頬骨と合わさる。

 

口蓋骨:鼻腔の外壁と口腔の後部をつくる一対の薄い骨であり、前方から見るとL字型をしている。左右の水平板が合体して骨口蓋の後部1/3を形成する。垂直板は鼻腔後部の外側壁を構成している。鼻稜は鋤骨と連結して鼻中隔の下半分を形成する。

頬骨:頬部の突出する、前方から見ると菱形の骨である。上顎骨、前頭骨および側頭骨の

頬骨突起により挟まれている。頬骨の後部には側頭突起が存在しており、側頭骨の

頬骨突起と連結して頬骨弓を形成する。

・下顎骨:頭部の骨の中で最も大きい骨であり、、U字型を形成する下顎体と下顎体の端か   

     ら垂直に立ち上がる下顎枝から構成される。

    下顎体は歯槽部と下顎底からなる。歯槽部は歯数に一致した歯槽が存在し、下顎底  

    はオトガイ隆起、オトガイ結節、オトガイ孔が存在しており、下顎枝との移行部に

下顎角がある。

下顎枝は上縁に2つの隆起がある。前方には筋突起、後方には関節突起があり、

内面中央部には下顎孔がある。

鼻骨:鼻骨の骨格となる有対性の骨であり、顔面正中の鼻の形を保つ役割がある。

鋤骨鼻中隔の後下部を構成する無対性の菱形の骨である。

涙骨:眼窩壁側壁の前部を構成する有対性の骨である。

下鼻甲介:鼻腔側壁を構成する骨である。

・舌骨:下顎と喉頭の間に存在するU字型の小さい骨であり、のど仏のすぐ上に位置する。

    舌骨体、大角、小角で構成されている。舌骨は他の骨と隣接せずに頭頚部の筋や軟組織に強く結合してるため可動範囲が極めて大きいユニークな骨である。

 

『顎・口腔系の構造的特徴』

歯は歯冠歯根から構成されており、歯冠はエナメル質で被覆されており、歯根はセメント

質で被覆されている。また歯列には上顎歯列と下顎歯列があり、上顎歯列は下顎歯列ととも

に食物をかみ砕いたりすり潰したりする。下顎歯列は上顎歯列とともに食物をかみ砕いた

りすり潰したりする。歯列を喪失すると摂食(嚥下、咀嚼)や発音が困難になる。

 

また唾液腺は口腔粘膜の表面に開口しており、唾液を分泌する線であり、大唾液腺と小唾液腺がある。唾液腺の作用として口腔全体の湿潤化、殺菌、消化など多岐にわたる。

特に唾液中のムチンには湿潤・潤滑作用があり、食塊形成に必須で摂食嚥下を補助する役割があり、少なくなると誤嚥の原因となる。

大唾液腺は口腔粘膜から離れたところにある腺であり、耳下腺、顎下腺、舌下腺がある。

小唾液腺は口腔粘膜内の粘膜下組織にある小さな腺である。

 

『鼻腔の構造的特徴』

鼻骨上顎骨前頭骨口蓋骨蝶形骨篩骨および鋤骨に囲まれた腔である。中央の

鼻中隔により左右二腔に分割される。前方は外鼻孔により外界に開き、後方は後鼻孔により咽頭に開く。外側壁から内腔に向かって上・下・中鼻甲介が突出する。鼻腔の周囲には副鼻腔が存在してる。

副鼻腔は鼻腔に隣接した骨内の空洞であり、鼻腔に連結している。上顎洞、前頭洞、蝶形

骨洞、篩骨洞の4種からなる。副鼻腔は粘膜が鼻水を作るほかに顔面の骨や頭蓋骨の重量を減らしつつ、骨強度と形を維持させるなどの役割が考えられる。

 

 

咽頭の構造的特徴』

食物と空気の通路をなる部分で、食道へ続く。咽頭鼻部/上咽頭咽頭口部/中咽頭

咽頭喉頭部/下咽頭の3つの領域に区分され、咽頭鼻部/上咽頭は軟口蓋から上方にあり、

呼吸や耳の圧の調整を行う。咽頭口部/中咽頭咽頭鼻部と咽頭喉頭部の間にあり、呼吸・発音・嚥下の役割を担う。咽頭喉頭部/下咽頭喉頭蓋の上縁から下方にあり、嚥下の役割を担う。

また咽頭の後壁および外側壁は咽頭収縮筋(横紋筋)からなり、嚥下の際にはこれらの筋の作用により咽頭腔は狭くなる。

喉頭の左右には梨状陥凹が存在し、嚥下の際にはこの部位を食物が通過する。

 

喉頭の構造的特徴』

舌骨と喉頭軟骨からなり、咽頭喉頭部に通じる喉頭口から輪状軟骨の下縁に及ぶ空間である。喉頭軟骨は様々な靭帯や膜によって連結されている

喉頭軟骨を構成する軟骨には喉頭蓋軟骨、甲状軟骨、輪状軟骨、披裂軟骨、小角軟骨、楔状軟骨の6つある。

喉頭蓋軟骨喉頭の上方にあるしゃもじ状の突起であり、嚥下時に器官に入らないに喉頭

塞ぐ働きをする。

甲状軟骨喉頭にある最大の軟骨であり、のど仏ともいう。指で位置を容易に確認可能。

輪状軟骨:指輪の様な形態をした環状の軟骨であり、この軟骨は下部で最上部の気管軟骨と

連結する

 

『食道の構造的特徴』

咽頭と胃を連結する長さ約25㎝の消化管である。食道の太さは起始部、気管分岐部相当部、横隔膜貫通部で狭窄し、癌の好発部位である。

また粘膜、筋層、外膜の三層構造であり、嚥下された食塊は筋層の蠕動運動で不随意的に胃に輸送される。

【歯科医師勉強・生理学】視覚(2)について

今回は以前学んだ「視覚1」の続きを学んでいきました!

まだ視覚1のブログを読んでいない方はまずは以下のリンクからそちらをご覧ください!

 

utti-memorandum.hatenablog.com

 

では早速見ていきましょう!

 

網膜について

網膜の各部にある神経節細胞から伸びる軸索は視神経となって、視神経乳頭から束になって眼球の外へ出る。この乳頭は視細胞を欠いていて光を受容できないために盲点

(マリオットの盲点)となる。眼前の1点を固視した状態で見えている範囲を視野といい、固視点から約15度外側に視細胞乳頭部に、対応する盲点がある。

また網膜は発生学的、解剖学的には脳の1部である。前脳の脳室壁が膨らんできて突出することで眼胞が形成され、その後眼杯となり、この眼杯の内側が網膜となる。

また網膜は10層から構成されている。

 
『視細胞』

視細胞はその外節の形態によって錐体と杆体に分けられる。外節には

数百から数千の円板が積み重なっており、円板の膜上には視物質が存在し、

視物質が光を吸収(光の受容)することで光応答の過程が開始される。     

円板は外節の基部で生成されて徐々に先端へと移動して色素上皮細胞

貪食される。軸索末端のシナプス終末から双極細胞や水平細胞へ情報を

出力する。

 

また、網膜及び聴覚系の神経細胞において持続的な開口放出に適した

特殊な構造を有するシナプスリボンシナプスといい、シナプス

アクティブゾーンにリボン状の構造とリボンの両サイドにシナプス小胞が  

集積している様子が見られ、リボンには常時多数のシナプス小胞が係留

されてるために、通常のシナプスよりも大量の神経伝達物質の持続的な

放出が可能である。

物体を注視する時にその像が結ばれる位置を中心窩といい、注視点と中心窩を結ぶ線を

視軸という。中心窩には杆体がなく、錐体のみ存在する。中心窩を中心とする直径約2mmの部分が色素を含んで黄色く見えるために黄斑と呼ばれる。

錐体明所視で色覚あり、中心窩で最も密度が高く,片目で数百万個ある。杆体暗所視で色覚無し、中心窩にはなく中心窩周辺に分布する。片目で1億個ある。

『双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞』

双極細胞は視細胞から入力を受けて神経節細胞へと出力する細胞である。水平細胞アマクリン細胞の大半は抑制性のニューロンで、側方抑制による輪郭やピークの強調に働く。

また神経節細胞は双極細胞、アマクリン細胞から入力を受けて視神経を介して中枢へ情報を送る。多くの視細胞からの情報は一個の神経節細胞へ収束する。中心窩では錐体-双極

細胞神経節細胞の比率が1:1:1であるので中心窩では最も分解能が高く、中心窩に近づく程収束の度合いが小さくなる。また光の応答形式でON型細胞とOFF型細胞に分けられる。

神経節細胞に至るまでに色覚情報処理が行われる。神経節細胞の中に特殊な内因性光感受性網膜神経節細胞(第三の光受容細胞ipRGC)がある。

 

<補足>内因性光受容性網膜神経節細胞(ipRGC)

神経節細胞のうち0.2%は内因性光受容性網膜神経節細胞であり、メラノプシンという青色光を吸収する光感受性色素を含有している。機能としては①概日リズムの調節、②対光反射、③薄明視がある。また杆体や錐体は視覚のイメージ形成に関わっているが、ipRGCは非イメージ形成に関わっている(視力に関係なし)とされてる。

 

『色素上皮細胞』

色素上皮細胞メラニン色素を含み、光の散乱を防ぐ。視細胞へビタミンAのアルデヒドである11-cis-レチナールを供給する。ビタミンAが不足するとレチナールが作られず、

視物質を合成できなくなって夜盲症となる。視細胞外節の円板の貪食を行って古い円板を新しいものへ入れ替える。

 

ミュラー細胞』

網膜の神経線維層から外顆粒層に至る巨大なグリア細胞であり、細胞同士の接着により

内境界膜と外境界膜を形成している。機能として網膜の構造の維持神経伝達物質の回収細胞外のK⁺濃度の調節がある。

 

 

視細胞による光の受容について

視物質はタンパク質であるオプシンと、杆体・錐体に共通する発色団の11-cis-レチナールからなる。杆体視物質は杆体オプシンと発色団からなるロドプシンであり、錐体視物質は3種類の錐体オプシンと発色団からなるヨドプシンである。錐体オプシンには、吸収する光の波長が異なる短波長・中波長・長波長感受オプシンがあり、それぞれを含む錐体をS錐体(青)、M錐体(緑)、L錐体(赤)という。

 

『光受容機構』

光量子が視物質に吸収されてから電気信号に変換されるまでの過程を光受容機構という。

視細胞は光を受容していないときには持続的に脱分極を行ってグルタミン酸を放出する。

光を受容するGタンパク質であるトランスデューシンが活性化することでホスホジエステラーゼが活性化されることでcGMP濃度が低下してcGMP依存性陽イオンチャネルの開口確率が下がって細胞が過分極してグルタミン酸の放出が減少する。

 

明所視暗所視での視力』

明所視では中心窩で最も視力がよい。これは中心窩で最も錐体細胞の密度が

高いからである。逆に暗所視では中心窩の視力が低く周辺部の視力が高い。  

杆体は錐体に比べて光感受性が高くて暗所視に重要である。

 

補足

点滅する光で刺激する場合にその頻度が低いと光がちらつくがある程度以上の頻度になると連続的な光に見える。この時の最小の頻度を臨界融合頻度という。

 

『色覚と色情報の処理』

色覚とは色の3要素である色相、彩度、明度を感じることであり、色相は色や光の波長

彩度は色の純粋さ、明度は明るさや光の物理的エネルギー量である。光の3原色は赤、青、緑であり、3原色を感知する3つの錐体(赤・青・緑錐体)がある。

錐体は強い光を受容し、色を識別できる。杆体は吸収極大が約500nmで弱い光を受容できるが、色は識別できない。

また、視細胞の錐体で3原色に分解される過程を3色過程といい、この過程で3原色に分解された色情報が対色系に信号が整理される過程を反対色過程という。

 

色覚異常

先天性色覚異常は、多くが錐体オプシンの異常であり、両眼性で視力や視野は正常である。

赤、緑オプシン遺伝子はX染色体の遺伝子であるため、男性の5%と男性に多く見られる。

先天性色覚異常の中で最も頻度が高くて、伴性劣性遺伝である。

後天性色覚異常は、重度の白内障、網膜疾患、視覚野損傷などにより起こる。S錐体は数が少ないために網膜疾患によって第三色盲になりやすい

 

眼球運動について

強膜外表面には6つの外眼筋が付着しており、これらが協調して眼球を動かす。

中心窩に結像するように眼球を回転させる。水平方向では内側直筋・外側直筋、

上方向では上直筋・下斜筋、下方向では下直筋、上斜筋が関係する。

眼前の物体を注視する時には左右の眼球が内転して視軸が1点に集まる輻輳が  図

おき、遠方の物体を注視する時には両眼が外転して視軸が外方へ向かう開散

おき、両眼の運動が協調できずに左右の眼の像がずれて重なって見えることを

複視という。

注視点が別のところへ急激に移動するときに見られる眼球運動を急速眼球運動といい、

ゆっくり動くものを注視する時に見られる眼球運動を滑動眼球運動という。

また外界が大きく動く時、例えば電車内でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、

流れていく風景を追う滑動眼球運動(緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの

急速眼球運動(急速相)が繰り返され、これを視覚運動性眼振という。

 

『眼電図』

眼球には前極(角膜層)を負とする数mVの電位差である角膜網膜電位が存在していることから、眼窩の上下と左右の皮膚に電極を貼付して、各組の電極間の電位差を記録することで眼球の動きを解析できる。これを眼電図という。

【歯科医師勉強・生理学】顎運動・顎反射(3)

今回は以前投稿した顎運動と顎反射の第三回目のお話となります!、まだ以前の記事を見ていない方は下のリンクからまずはそちらをご覧ください!

 

utti-memorandum.hatenablog.com

 

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今回の内容も解剖学で学んだ内容も出てくるので、解剖学の復習もかねて是非ご覧ください!

では早速見ていきましょう!

 

各下顎反射の反射経路および特徴について

『脱負荷反射』

食事中に、口腔内で煎餅が突然割れると急激な脱負荷により閉口筋が一瞬たわみ、その時に閉口筋中の筋紡錘も同時に弛緩する。これにより筋紡錘からの求心性信号が一過性に減少または停止することで閉口筋活動が一時停止する。

反射経路に関しては下顎張反射と同じである。

この脱負荷反射の意義は、脱負荷時にこの反射が誘発されることで上下の歯が勢いよく

衝突することが回避できることである。

 

一過性歯根膜咬筋反射

弱く噛みしめた時(等尺性収縮時)に、上顎中前歯の唇面を叩くか、周辺の歯肉に一過性の電気刺激を加えて咬筋に誘発される短潜時の筋収縮反射のこと。

・誘発刺激は、咬合力や歯の唇面を叩くなどの歯への一過性の機械刺激である。

・受容器は歯根膜機械受容器である。

・受容器で受容した情報の求心性情報を中枢へ伝える求心性神は、三叉神経中脳路核に

細胞体を持つ歯根膜機械受容器支配の感覚神経である。

・反射中枢は三叉神経中脳路核と三叉神経運動路核となる。

・遠心性神は閉口筋支配のAαニューロンである。

・反射の効果は閉口筋(咬筋)の収縮である。

・反射の意義は咀嚼中の咬合力の調節を行うことである。

・その他の特徴として単シナプス反射や、正のフィードバック調整による咀嚼力の増強機構であることである。

 

『緊張性歯根膜咬筋反射』

弱くかみしめた時(等尺性収縮時)に、上顎中前歯を舌唇方向の持続的圧迫を行う間に咬筋

に誘発される持続的筋収縮反射である。

誘発刺激は、歯への持続性の機械刺激である。

受容器は歯根膜機械受容器である。

求心性神は三叉神経節に細胞体を持つ歯根膜機械受容器支配の感覚神経である。

反射中枢は三叉神経運動核と三叉神経主感覚核である。

遠心性神は閉口筋支配のAαニューロンである。

反射の中枢は閉口筋の収縮である。

反射の意義は咀嚼中の咬合力の自動調節である。

その他の特徴としては、一過性歯根膜咬筋反射と異なって多いシナプス反射であること。

 

『(狭義の)閉口反射』

(除脳猫などの)舌背や口蓋の粘膜を軽くこすることで下顎がゆっくり挙上されて口が

閉じる反射のこと。特徴としては、嚥下反射の時の閉口運動はこの反射が役立っているとさ

れていることである。

 

『開口反射』

三叉神経の上顎反射と下顎神経支配領域に侵害刺激や強めの機械刺激が加わることで閉口

筋活動の抑制と開口筋の収縮が同時に誘発される反射のこと。

誘発刺激は上顎神経や下顎神経支配領域への侵害刺激および強めの機械刺激である。

受容器は上記領域の痛覚受容器および機械受容器である。

求心性神は三叉神経節に細胞体をもつ上顎神経および下顎神経の中の感覚神経である。

反射中枢は三叉神経上核、三叉神経脊髄路核、三叉神経運動核である。

遠心性神は閉口筋および開口筋支配のAαニューロンである。

反射の効果は閉口筋活動抑制、開口筋収縮による開口である。

反射の意義は、侵害刺激から顎顔面・口腔領域の組織損傷を防ぐことと、非侵害性の強めの機械刺激で誘発される開口反射は顎運動の調節に関わることである。

その他の特徴として、この反射は受容野(三叉神経の上顎神経・下顎神経支配領域)が広いこと、人の場合だと閉口筋活動の抑制が主であり開口筋活動の誘発は弱いこと。

シナプス反射であること。また抑制性介在ニューロンの細胞体は三叉神経上核に局在し、興奮性介在ニューロンの細胞体は三叉神経脊髄路核に局在することや、この反射は両側性に誘発されることも特徴である。

 

舌の構造と生理機能について

『舌の特徴』

舌は舌筋を粘膜が覆う構造をしており、この構造は舌尖や舌体、舌根に分かれる。

また上面を舌背、下面を舌下部という。口腔器官内で最も運動が活発な器官であり、舌尖と舌体が自由に変形しながら突出や後退が可能である。

感覚が敏感な器官であり、また舌乳頭があるために味覚の受容にも関係している。

このような特徴から食物の摂取、咀嚼、食塊形成などの摂食嚥下運動や発音において運動と感覚の両面から極めて重要な働きをする。

 

『舌筋の構造』

舌筋には外舌筋内舌筋がある。外舌筋は舌の形を決めるもので、一端が舌以外の部位(舌骨、下顎骨、頭蓋骨)から起こり、他端が舌に終わる横紋筋である。

内舌筋は舌の位置を決めるもので、舌の内部で終始する横紋筋である。

 

『舌の機能』

(1)感覚器官としての働き

舌の触圧覚は指先とともに体内では最も敏感である。また味覚受容器の働きは食物の味を知覚して腐敗物や毒物を弁別して嚥下を防ぐことも行う。

食べ物をかじり取る際には食物と接触した舌尖が後退することで食物の一口量での咬断を補助する。前方の舌背は食物を切歯乳頭に押し付けて食物の硬さを判別する。

 

(2)運動器官としての働き

食物を補捉して、硬い場合には口腔内を移送させて臼歯部咬合面に乗せて(StageⅠ移送)咀嚼を補助する。また食物を保持して唾液を混ぜることで食塊形成を促進し、食塊を咽頭部に移送させて嚥下を補助する。この際の移送をStageⅡ移送という。

 

(3)発音器官としての働き

口蓋に対する舌の位置や舌の形状を変化させて母音や子音の発音を可能にする。

 

咀嚼時の舌運動について

舌運動は非常に複雑で、かつその運動範囲も広く、巧妙な運動調節機構によって支えられており、ほかの骨格筋同様に筋紡錘による固有反射によって調節される。

また舌下神経支配であるが、口蓋舌筋のみ迷走神経支配である。舌の随意運動の中枢は中心前回の下の部分である。

 

『咀嚼時の舌運動』

第1相(準備相):舌背中央部をくぼませて食物を舌背に集める。

第2相(ねじれ相):食物を乗せた舌前部が咀嚼側にねじれて舌背が歯の側面に接するこ

とで食物が臼歯の咬合面に置かれる。

第3相(保持相):舌をねじったまま舌背を歯の内側面に押し付けて食物が咬合面から滑り落ちるのを防ぐ。

咬合相(1咀嚼周期):咀嚼側臼歯部で食物が咀嚼により粉砕される。

第4相(選別相):1咀嚼周期後、上下臼歯が離れた時から十分に咀嚼されていない食片を再度咬合面に乗せるために粉砕された食物をより分ける。これにより十分に粉砕された食片は舌の外縁部へ移送される。

第5相(食塊形成層):第4相において十分に咀嚼された食物が多い場合に舌が一側から対側へ交互運動を行って食物と唾液を混ぜ合わせる。これにより嚥下の準備が完了(食塊形成完了)して嚥下動作へ移行する。

 

 

『咀嚼時の舌運動と顎運動の協調』

咀嚼中には舌運動は顎運動と協調することで舌筋もリズミカルに運動を行うので舌を嚙む

ことはほとんどない。また下顎開口時には、顎二腹筋が興奮して舌が突出することで舌突出

時のオトガイ舌筋が興奮する。下顎閉口時には咬筋が興奮して舌は引っ込む。この時舌突出

筋のオトガイ舌筋の興奮が解除される。

 

舌の反射運動について

顎舌反射は、全身麻酔した動物の下顎を押して開口した際に舌根部が隆起して舌全体が

口腔の後方へ動く反射のこと。筋電図を記録すると開口によりオトガイ舌筋と茎突舌筋で

は持続的筋電図活動はあるが、舌骨舌筋では筋電図活動はない。

また下顎体から分離した下顎頭の回転方向への回転では舌筋活動は生じないため関節感覚

は関与しない。

 

口唇・頬・口蓋の構造と生理機能について

口腔は口唇の間の口裂から口峡までの空間であり、口峡を介して咽頭に通じる。

口腔には歯周組織唾液腺が備わっている。口腔は前方は口唇、側方は頬、上方は

口蓋、下方は口腔庭により囲まれている。

また口唇、頬と上下歯列弓との間にできる弓型の空間を口腔前庭といい、上下顎歯列弓の

内側の空間で狭義の口腔を固有口腔という。

主な機能として、・消化管の入り口として食物を摂取、咀嚼して咽頭へ送る。

        ・咽頭から喉頭、気管へと続いて呼吸を行う。

        ・舌、口唇は咽頭と一緒に発音を行う。

 

『口腔底の構造』

口腔の下壁となる部分であり、下顎骨内面舌下粘膜部から構成される。

口腔庭の上に舌が付着する。口腔庭と舌は舌下面の舌根部付近から走る舌小帯により連結

する。この舌小帯の両側には舌下ひだや舌下小丘が存在しており、舌下ひだには小舌下腺管

が開口しており、舌下小丘には顎下腺管や大舌下腺管が開口している。

 

『口唇の構造的特徴』

口腔の前壁をなし、上唇と下唇からなり、摂食時や咀嚼時に食べ物や義歯がこぼれるのを

防ぐ。口唇の外表面は皮膚であり、内表面は粘膜である。皮膚と粘膜の間に口輪筋が存在し

ており、口唇の皮膚には汗腺と皮膚腺が存在している。また口唇の粘膜部には粘液腺組織が

ある。上唇と下唇の間を口裂、口裂の外側の隅を口角、上唇の上方のくぼみを人中という。

 

 

『頬の構造的特徴』

口唇に続き、口腔の側方外壁となる部分である。外面は皮膚で覆われ、内面は頬粘膜で覆わ

れる。皮膚粘膜間の深層には頬筋、浅層には頬骨筋や笑筋がはいる。頬粘膜は上下顎の歯肉

頬移行部で歯槽粘膜に移行して歯肉へと続く。上顎第二臼歯の咬合面の高さに相当する

部分に耳下腺乳頭があり、耳下腺が開口する。

 

『口唇の機能』

咀嚼時に食物が口腔外に出るのを防ぐ。吸啜の際に口唇を突き出してものを加えたり、口唇

を突き出して息を吹いたりする。敏感な感覚を利用して食片の大きさや肌触り、温度を測定

する。危険物が口腔に入るのを防ぐ。口唇の形を整えて発音を調節する。口唇圧による歯列

形成・維持作用がある。

 

『頬の機能』

頬を圧迫して口腔前庭から食物を咬合面上に移動して上下の歯の間を保つ

また口角を後ろに引いたり、口唇を後ろに引っ張ったりして歯に近づける働きがある。

他にも嚥下を助けたり、吸啜や吹く動作の補助を行ったりする。

頬圧による歯列形成や維持作用がある。