うってぃの備忘録

税理士資格取得を目指す歯学部生の日常です!

【歯科医師勉強・生理学】顎運動・顎反射(3)

今回は以前投稿した顎運動と顎反射の第三回目のお話となります!、まだ以前の記事を見ていない方は下のリンクからまずはそちらをご覧ください!

 

utti-memorandum.hatenablog.com

 

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今回の内容も解剖学で学んだ内容も出てくるので、解剖学の復習もかねて是非ご覧ください!

では早速見ていきましょう!

 

各下顎反射の反射経路および特徴について

『脱負荷反射』

食事中に、口腔内で煎餅が突然割れると急激な脱負荷により閉口筋が一瞬たわみ、その時に閉口筋中の筋紡錘も同時に弛緩する。これにより筋紡錘からの求心性信号が一過性に減少または停止することで閉口筋活動が一時停止する。

反射経路に関しては下顎張反射と同じである。

この脱負荷反射の意義は、脱負荷時にこの反射が誘発されることで上下の歯が勢いよく

衝突することが回避できることである。

 

一過性歯根膜咬筋反射

弱く噛みしめた時(等尺性収縮時)に、上顎中前歯の唇面を叩くか、周辺の歯肉に一過性の電気刺激を加えて咬筋に誘発される短潜時の筋収縮反射のこと。

・誘発刺激は、咬合力や歯の唇面を叩くなどの歯への一過性の機械刺激である。

・受容器は歯根膜機械受容器である。

・受容器で受容した情報の求心性情報を中枢へ伝える求心性神は、三叉神経中脳路核に

細胞体を持つ歯根膜機械受容器支配の感覚神経である。

・反射中枢は三叉神経中脳路核と三叉神経運動路核となる。

・遠心性神は閉口筋支配のAαニューロンである。

・反射の効果は閉口筋(咬筋)の収縮である。

・反射の意義は咀嚼中の咬合力の調節を行うことである。

・その他の特徴として単シナプス反射や、正のフィードバック調整による咀嚼力の増強機構であることである。

 

『緊張性歯根膜咬筋反射』

弱くかみしめた時(等尺性収縮時)に、上顎中前歯を舌唇方向の持続的圧迫を行う間に咬筋

に誘発される持続的筋収縮反射である。

誘発刺激は、歯への持続性の機械刺激である。

受容器は歯根膜機械受容器である。

求心性神は三叉神経節に細胞体を持つ歯根膜機械受容器支配の感覚神経である。

反射中枢は三叉神経運動核と三叉神経主感覚核である。

遠心性神は閉口筋支配のAαニューロンである。

反射の中枢は閉口筋の収縮である。

反射の意義は咀嚼中の咬合力の自動調節である。

その他の特徴としては、一過性歯根膜咬筋反射と異なって多いシナプス反射であること。

 

『(狭義の)閉口反射』

(除脳猫などの)舌背や口蓋の粘膜を軽くこすることで下顎がゆっくり挙上されて口が

閉じる反射のこと。特徴としては、嚥下反射の時の閉口運動はこの反射が役立っているとさ

れていることである。

 

『開口反射』

三叉神経の上顎反射と下顎神経支配領域に侵害刺激や強めの機械刺激が加わることで閉口

筋活動の抑制と開口筋の収縮が同時に誘発される反射のこと。

誘発刺激は上顎神経や下顎神経支配領域への侵害刺激および強めの機械刺激である。

受容器は上記領域の痛覚受容器および機械受容器である。

求心性神は三叉神経節に細胞体をもつ上顎神経および下顎神経の中の感覚神経である。

反射中枢は三叉神経上核、三叉神経脊髄路核、三叉神経運動核である。

遠心性神は閉口筋および開口筋支配のAαニューロンである。

反射の効果は閉口筋活動抑制、開口筋収縮による開口である。

反射の意義は、侵害刺激から顎顔面・口腔領域の組織損傷を防ぐことと、非侵害性の強めの機械刺激で誘発される開口反射は顎運動の調節に関わることである。

その他の特徴として、この反射は受容野(三叉神経の上顎神経・下顎神経支配領域)が広いこと、人の場合だと閉口筋活動の抑制が主であり開口筋活動の誘発は弱いこと。

シナプス反射であること。また抑制性介在ニューロンの細胞体は三叉神経上核に局在し、興奮性介在ニューロンの細胞体は三叉神経脊髄路核に局在することや、この反射は両側性に誘発されることも特徴である。

 

舌の構造と生理機能について

『舌の特徴』

舌は舌筋を粘膜が覆う構造をしており、この構造は舌尖や舌体、舌根に分かれる。

また上面を舌背、下面を舌下部という。口腔器官内で最も運動が活発な器官であり、舌尖と舌体が自由に変形しながら突出や後退が可能である。

感覚が敏感な器官であり、また舌乳頭があるために味覚の受容にも関係している。

このような特徴から食物の摂取、咀嚼、食塊形成などの摂食嚥下運動や発音において運動と感覚の両面から極めて重要な働きをする。

 

『舌筋の構造』

舌筋には外舌筋内舌筋がある。外舌筋は舌の形を決めるもので、一端が舌以外の部位(舌骨、下顎骨、頭蓋骨)から起こり、他端が舌に終わる横紋筋である。

内舌筋は舌の位置を決めるもので、舌の内部で終始する横紋筋である。

 

『舌の機能』

(1)感覚器官としての働き

舌の触圧覚は指先とともに体内では最も敏感である。また味覚受容器の働きは食物の味を知覚して腐敗物や毒物を弁別して嚥下を防ぐことも行う。

食べ物をかじり取る際には食物と接触した舌尖が後退することで食物の一口量での咬断を補助する。前方の舌背は食物を切歯乳頭に押し付けて食物の硬さを判別する。

 

(2)運動器官としての働き

食物を補捉して、硬い場合には口腔内を移送させて臼歯部咬合面に乗せて(StageⅠ移送)咀嚼を補助する。また食物を保持して唾液を混ぜることで食塊形成を促進し、食塊を咽頭部に移送させて嚥下を補助する。この際の移送をStageⅡ移送という。

 

(3)発音器官としての働き

口蓋に対する舌の位置や舌の形状を変化させて母音や子音の発音を可能にする。

 

咀嚼時の舌運動について

舌運動は非常に複雑で、かつその運動範囲も広く、巧妙な運動調節機構によって支えられており、ほかの骨格筋同様に筋紡錘による固有反射によって調節される。

また舌下神経支配であるが、口蓋舌筋のみ迷走神経支配である。舌の随意運動の中枢は中心前回の下の部分である。

 

『咀嚼時の舌運動』

第1相(準備相):舌背中央部をくぼませて食物を舌背に集める。

第2相(ねじれ相):食物を乗せた舌前部が咀嚼側にねじれて舌背が歯の側面に接するこ

とで食物が臼歯の咬合面に置かれる。

第3相(保持相):舌をねじったまま舌背を歯の内側面に押し付けて食物が咬合面から滑り落ちるのを防ぐ。

咬合相(1咀嚼周期):咀嚼側臼歯部で食物が咀嚼により粉砕される。

第4相(選別相):1咀嚼周期後、上下臼歯が離れた時から十分に咀嚼されていない食片を再度咬合面に乗せるために粉砕された食物をより分ける。これにより十分に粉砕された食片は舌の外縁部へ移送される。

第5相(食塊形成層):第4相において十分に咀嚼された食物が多い場合に舌が一側から対側へ交互運動を行って食物と唾液を混ぜ合わせる。これにより嚥下の準備が完了(食塊形成完了)して嚥下動作へ移行する。

 

 

『咀嚼時の舌運動と顎運動の協調』

咀嚼中には舌運動は顎運動と協調することで舌筋もリズミカルに運動を行うので舌を嚙む

ことはほとんどない。また下顎開口時には、顎二腹筋が興奮して舌が突出することで舌突出

時のオトガイ舌筋が興奮する。下顎閉口時には咬筋が興奮して舌は引っ込む。この時舌突出

筋のオトガイ舌筋の興奮が解除される。

 

舌の反射運動について

顎舌反射は、全身麻酔した動物の下顎を押して開口した際に舌根部が隆起して舌全体が

口腔の後方へ動く反射のこと。筋電図を記録すると開口によりオトガイ舌筋と茎突舌筋で

は持続的筋電図活動はあるが、舌骨舌筋では筋電図活動はない。

また下顎体から分離した下顎頭の回転方向への回転では舌筋活動は生じないため関節感覚

は関与しない。

 

口唇・頬・口蓋の構造と生理機能について

口腔は口唇の間の口裂から口峡までの空間であり、口峡を介して咽頭に通じる。

口腔には歯周組織唾液腺が備わっている。口腔は前方は口唇、側方は頬、上方は

口蓋、下方は口腔庭により囲まれている。

また口唇、頬と上下歯列弓との間にできる弓型の空間を口腔前庭といい、上下顎歯列弓の

内側の空間で狭義の口腔を固有口腔という。

主な機能として、・消化管の入り口として食物を摂取、咀嚼して咽頭へ送る。

        ・咽頭から喉頭、気管へと続いて呼吸を行う。

        ・舌、口唇は咽頭と一緒に発音を行う。

 

『口腔底の構造』

口腔の下壁となる部分であり、下顎骨内面舌下粘膜部から構成される。

口腔庭の上に舌が付着する。口腔庭と舌は舌下面の舌根部付近から走る舌小帯により連結

する。この舌小帯の両側には舌下ひだや舌下小丘が存在しており、舌下ひだには小舌下腺管

が開口しており、舌下小丘には顎下腺管や大舌下腺管が開口している。

 

『口唇の構造的特徴』

口腔の前壁をなし、上唇と下唇からなり、摂食時や咀嚼時に食べ物や義歯がこぼれるのを

防ぐ。口唇の外表面は皮膚であり、内表面は粘膜である。皮膚と粘膜の間に口輪筋が存在し

ており、口唇の皮膚には汗腺と皮膚腺が存在している。また口唇の粘膜部には粘液腺組織が

ある。上唇と下唇の間を口裂、口裂の外側の隅を口角、上唇の上方のくぼみを人中という。

 

 

『頬の構造的特徴』

口唇に続き、口腔の側方外壁となる部分である。外面は皮膚で覆われ、内面は頬粘膜で覆わ

れる。皮膚粘膜間の深層には頬筋、浅層には頬骨筋や笑筋がはいる。頬粘膜は上下顎の歯肉

頬移行部で歯槽粘膜に移行して歯肉へと続く。上顎第二臼歯の咬合面の高さに相当する

部分に耳下腺乳頭があり、耳下腺が開口する。

 

『口唇の機能』

咀嚼時に食物が口腔外に出るのを防ぐ。吸啜の際に口唇を突き出してものを加えたり、口唇

を突き出して息を吹いたりする。敏感な感覚を利用して食片の大きさや肌触り、温度を測定

する。危険物が口腔に入るのを防ぐ。口唇の形を整えて発音を調節する。口唇圧による歯列

形成・維持作用がある。

 

『頬の機能』

頬を圧迫して口腔前庭から食物を咬合面上に移動して上下の歯の間を保つ

また口角を後ろに引いたり、口唇を後ろに引っ張ったりして歯に近づける働きがある。

他にも嚥下を助けたり、吸啜や吹く動作の補助を行ったりする。

頬圧による歯列形成や維持作用がある。