うってぃの備忘録

税理士資格取得を目指す歯学部生の日常です!

【歯科医師勉強・生理学】顎・口腔・顔面の体性感覚

今回は顎・口腔・顔面の体性感覚についてまなんでいきました。

僕らが普段感じている感覚のメカニズムについて勉強していったのでとても興味深い内容でした!

では早速見ていきましょう!

 

顔面・口腔粘膜の表在感覚について

全身の皮膚感覚(触圧覚、温度覚、痛覚)と類似していて、機序は感覚受容器(受容器電位)から末梢神経(活動電位)に伝わって中枢へ行き、最終的には大脳で知覚。(機序も同じ)

口腔感覚は体性感覚と類似しているが、歯髄は痛覚しかない!

 

顔面・口腔領域の体性感覚を支配している神経は、三叉神経、舌咽神経、迷走神経である。

三叉神経は顔面の大部分口腔舌前方2/3に分布する。

舌咽神経は舌後方1/3口峡咽頭に分布する。

迷走神経は咽頭喉頭に分布する。

 

特殊感覚である味覚を支配している神経は顔面神経、舌咽神経、迷走神経である。

顔面神経では舌前方2/3鼓索神経が、軟口蓋大錐体神経が支配している。

舌咽神経は舌後方の1/3知覚味覚を支配している。

迷走神経は咽頭知覚味覚を支配している。

 

『三叉神経について』

第1枝は眼神経で上眼窩裂を、第2枝は上顎神経で正円孔を、第三枝は下顎神経で卵円孔を通る。眼神経と上顎神経は運動性線維を持たず機能は知覚であるが、下顎神経は運動性線維を含むため機能として運動と知覚がある。

(補足)

下顎神経が支配する筋は8つあり、咀嚼筋4つ(側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋)

開口筋2つ(顎舌骨筋、顎二腹筋前腹)、張筋群2つ(鼓膜張筋、口蓋帆張筋)

また三叉神経が関係しそうな疾患として歯痛、三叉神経痛片頭痛群発頭痛帯状疱疹がある。

 

眼神経、上顎神経、下顎神経は三叉神経路から出ており、三叉神経節は

脳神経で最も大きな神経節である。

中枢投射路では、顎関節や舌などの知覚線維(一次求心性線維)が

三叉神経節を経由して三叉神経主感覚核三叉神経脊髄路核に送られて

二次ニューロンに伝わって視床(後内側腹側核VPM)を介して大脳皮質      

(第一次体性感覚野S1)に行く。三叉神経主感覚核は運動や反射に関係する。

三叉神経脊髄路核には吻側亜核・中間亜核・尾側亜核があり、吻側亜核は運動と

開口に、中間亜核は触覚と圧覚に、尾側亜核は痛覚に関係する。

 

皮膚における感覚受容器について

メルケル細胞は軽い触覚、機械受容している、全ての脊髄動物にあるという特徴がある。

引っ張られるとPiezoチャネルが開いて電流が流れることで電位が変わり、

電位依存性Ca⁺チャネルが開いてCa⁺が入ってきて神経伝達物質が放出される。  

すると求心性神経終末の受容体がそれをキャッチすることで電位が生じ、

電位依存性Na⁺チャネルが開いて活動電位が生じて終末に伝わっていく。

 

 

各感覚点には神経が来ており、痛みと触覚、温度覚は異なる神経が伝える。

また刺激が活動電位の頻度に置き換えられることを符号化といい、    

活動電位(インパルス)がないと刺激は伝わらない。

順応とは受容器が慣れてしまって活動電位が出なくなることである。

また部位によって受容野の広さは異なり腕や背中は広い受容野で

二点として認識されないが、指先は狭い受容野で二点として識別される。

深い位置に感覚器があると、ギューっと押さないといけないので不明確に

なりやすい。

 

『TRPチャネルについて』

温度や化学物質は自由神経終末の細胞表面にあるTRPチャネルが受容する。

温冷覚や痛覚に関与しており、V1は唐辛子のカプサイシンを感じる。

M8は三叉神経に発現しており、メントールに反応するため口腔内に冷涼感を感じる。

 

(参考)口腔粘膜の機械的刺激に対する受容器

触圧覚:Merkel触盤,Meissner小体,Ruffini小体,Krause小体

温冷覚・痛覚:自由神経終末、TRPチャネル

顔面皮膚:毛包受容器(顔面にはPacinian小体はあっても稀)

 

(注)閾値が低いということは閾値に達しやすいから感度が高いということ。

 

感覚の鋭敏さについて

口腔粘膜は組織学的に以下の3つに分けられる。

咀嚼粘膜:軟口蓋や歯肉、角化していて咀嚼時に食べ物が接触する部位

被服粘膜:軟口蓋、舌下面、口腔底、歯槽粘膜、口唇粘膜、頬粘膜は非角化可動性がある。

特殊粘膜:舌背で、舌乳頭など特殊な構造を持つ。

感覚の鋭敏さは粘膜の構造(角化の程度など)や解剖学的性質(神経の分布密度など)に  より影響を受ける。

顔面皮膚は感覚が鋭敏で、口唇外皮部は二点弁別や触覚閾値が指先と同等    図

正中部は二点弁別が敏感である。鼻周囲は触覚閾値や痛覚・温度覚が敏感である。           

(参考)顔面表面の感覚の受容器

三叉神経支配である。受容野は小さく遅順応性で探索行動を行わない。

触圧覚:Merkel触盤,Meissner小体,Ruffini小体,Krause小体、毛包受容器

温冷覚・痛覚:自由神経終末

 

『舌の感覚』

舌背は特殊粘膜で、舌下面は被覆粘膜である。

触圧覚

 舌尖;感覚に非常に敏感(受容器高密度に分布)で、二点識別は1㎜と身体の中で最小

 舌背:後方、側方は二点識別と閾値とも悪化する。

 舌下面:角化層は薄く、触圧覚敏感である。

温覚:顔面より鈍いが、口腔粘膜では最も鋭敏

 冷覚:顔面と同等で他の口腔粘膜とも同等である。

 温度変化の識別は温冷覚とも鋭敏である。

痛覚

 舌下面:口腔底同様に非常に敏感である。

 舌背:舌尖で他の舌背部より敏感である。

 舌筋の痛みは深部痛で鈍い痛みであり、場所の同定は困難である。

(参考)舌の感覚受容器:三叉神経、舌咽神経支配である。

粘膜

触圧覚:Merkel触盤,Meissner小体,Ruffini小体,Krause小体

温冷覚・痛覚:自由神経終末

受容野は小さく、速順応性(無毛部皮膚に類似)探索行動や操作を行うアクティブタッチや性状認知に関係する。

深部感覚(舌筋):筋紡錘(内・外舌筋)、腱器官、パチニ小体などがある。

深部近くの受容器を固有受容器という。固有受容器から舌下神経を介して頚髄にシグナルが入ってきて、反射的に舌の筋活動を調節する

『口唇の感覚』

構造として外皮部、移行部、粘膜部がある。

以下感覚の特徴

触圧覚:非常に鋭敏、二点弁別は移行部(指先と同等)>口唇粘膜部>外皮部

    舌尖>口唇移行部>口腔粘膜

温覚:舌と同様に顔面皮膚より鈍い、口腔粘膜内では鋭敏 外皮部>移行部と粘膜部

冷覚:皮膚と同等、温度変化の識別は温冷覚とも指先よりも鋭敏

痛覚:移行部や粘膜部>外皮部より鋭敏

(参考)口唇の感覚受容器:三叉神経支配である。

粘膜

触圧覚:Merkel触盤,Meissner小体,Ruffini小体,Krause小体、毛包受容器(外皮部)

温冷覚・痛覚:自由神経終末

受容野は小さく、速順応性(無毛部皮膚に類似)探索行動や操作を行うアクティブタッチや性状認知に関係する。

 

『口腔粘膜』

部位として頬粘膜、歯槽粘膜、歯肉、口蓋粘膜、口峡粘膜、口腔底粘膜がある。

感覚点の密度:痛点>触圧点>冷点>温点(通常の皮膚と同じ順)であり、口腔の前方で高密度、後方は低密度である。

触圧覚:前方部は密度が高く、鋭敏さは指先に匹敵する。

温度感覚:飲食物の温度識別を行うが、皮膚より鈍い。口唇外皮部は55℃~60℃、口腔粘膜は60~65℃で反応する。鈍い理由として分布密度が温点<冷点であること、唾液で冷却されること、食物が移動し長時間接触しないこと、温点冷点とも前方部で密度が高いことがある。

痛覚:痛点は軟口蓋移行部や歯肉頬移行部で密度が高い。

非常に鋭敏な部位として口唇では上唇移行部、舌では舌尖と舌下面、口蓋では軟口蓋

非常に鈍感な部位としては頬粘膜のキーゾウの領域がある。

(参考)キーゾウの無痛領域は、第二大臼歯の頬粘膜中央部から口角にいたる帯状の部分で、痛点の分布密度が著しく低い。頬粘膜感覚は刺激が加わるために口腔粘膜のほかの部位に比べて鈍感である。(咀嚼時に嚙んでしまうかもしれないから)

【歯科医師勉強・生理学】味覚・嗅覚について(2)

今回は以前の続きとして味覚・嗅覚についてお話していこうと思います。

まだ前回の内容をご覧になっていない方は先に下のリンクからそちらを是非ご覧ください!

 

utti-memorandum.hatenablog.com

 

では早速内容を見ていこうと思います!

 

PTC味盲について

ブロッコリーやキャベツに含まれる苦み物質をPTCという。

PTC味盲は同じ味覚閾値の測定範囲でも閾値は個人差で大きい。

なぜPTC味盲の方がいるかというと、味盲者のTAS2R38には遺伝子変異によるアミノ酸置換が三ヶ所あることで受容体のPTC感受性が低下するためである。つまり、PTCを苦いと感じ易いかどうかは遺伝的(先天的)に決まる。

 

味覚を変える物質について

 

「ミラクルフルーツ」

ラクルフルーツの実を食べてからレモンなどの酸味物質を食べるとレモンを甘く感じさせられる。(トマト、ビール、ワインも甘くなる。)効果の持続時間は一時間以上である。

果実に含まれるミラクリンという糖タンパク質は酸味のある食べ物を摂取すると、水素イオンがミラクリンと結合して構造が変化して活性型になり、酸性条件下で舌の甘味受容体のT1R2とT1R3を刺激する。

 

「ギシネマ酸」

ギシネマシルベスタの葉に含まれる甘味抑制物質(トリテルペン誘導体)であり、舌にギシネマ酸を作用すると甘味受容体に会合してショ糖やサッカリンなどの甘味を抑制する。

 

味覚障害について

味覚障害の症状として味覚減退症、無味症、孤立性無未症、片側性無未症、味覚過敏、自発性異常味覚、錯味症、悪味症がある。

また味覚障害の原因には以下の7つがある。

 

味蕾への外的障害

炎症や火傷がある。

味物質の到達障害

舌苔が厚くなると違和感や味覚異常(味孔の閉鎖)を覚え、口臭に影響を与えるようになる。

また老化やシェーグレン症候群、細胞の新陳代謝に重要である亜鉛の欠乏によって、唾液を分泌する細胞も新生能力を失うことで唾液量が減少して味物質を溶解して浸透させることができる出来ず、 味物質の到達障害になる。口腔内の浄化作用も減少し、齲蝕や歯周炎が増加する。(亜鉛不足により炭酸水素イオンが十分に作られず唾液も酸性になる、シェーグレン症候群は外分泌腺が破壊される自己免疫疾患のこと。)

味細胞の内的障害

亜鉛欠乏症による味覚細胞の新陳代謝障害(細胞減)」

食事性:インスタント食などの偏食による亜鉛摂取量の不足

薬剤性:薬剤が亜鉛キレートを形成して亜鉛の排泄を促進して二次的に亜鉛が不足する。

全身疾患:胃腸疾患などによる胃腸の亜鉛吸収力が低下して亜鉛不足。

 

ビタミン欠乏症による味細胞の新陳代謝障害」

ビタミンA,B類の不足により味細胞に異常をきたす。

ビタミンB12不足により悪性貧血を起こしてハンター舌炎になり味覚障害を起こす。

 

貧血

中年以降の女性に多い鉄欠乏性貧血では、舌乳頭が萎縮して舌表面が平滑になり(舌炎)、ピリピリした灼熱感とともに味覚異常が発現することがある。

 

味覚伝導路障害

舌、咽頭、軟口蓋で感知された味覚刺激は舌(鼓索)神経、舌咽神経、および大錐体神経  から顔面神経を経て中枢に伝達されて認知される。(味覚伝導路)

この経路や中枢に疾患があると、感覚受容器に異常がなくても味覚障害が発生する。

(味覚伝導路障害) 代表的な疾患は脳腫瘍、聴覚腫瘍、中耳炎、顔面神経麻痺など

 

食物の味に関連する他の感覚の障害

「嗅覚障害(風味障害)」

呼吸性嗅覚障害副鼻腔炎等による鼻腔における空気(匂い)の流れの阻害

末梢性嗅覚障害:嗅粘膜の炎症と変性、後頭部外傷による嗅神経切断

中枢性嗅覚障害パーキンソン病アルツハイマー病や脳腫瘍等による大脳や嗅球の障害

 

「三叉神経Ⅱ・Ⅲ枝(上・下顎神経)の障害」

舌神経は三叉神経の下顎神経の枝であり、舌に感覚神経を提供するので、舌触りや歯触りの異常を起こす。

 

心因性

「仮面うつ病

うつ病でありながら通常の精神症状よりも身体症状が前面に出てくる症状のこと。

この身体症状として味覚障害がある。

 

老化

感覚機能の中で味覚は最も衰えにくい感覚の1つであるが、味覚障害は加齢とともに増加する傾向がある。高齢化に伴い服用する薬剤が増加して薬剤性味覚障害がある為とされる。

 

味覚の中枢伝導路について

味覚情報は鼓索神経、舌咽神経、上喉頭神経(迷走神経)、大錐体神経(顔面神経)は延髄の孤独核へ行き、視床に伝わって、大脳一次味覚野へ伝わる。

 

「各味覚神経の味質応答性の差」

舌咽神経キニーネに対する感受性が特に高い

大錐体神経:ショ糖や酸によく反応する。

喉頭神経(迷走神経):低閾値の機械刺激や純水刺激に反応(湿度のモニター)

鼓索神経:食塩、酸によく反応する。

 

「孤束核(一次中継核)の主な役割」

・味覚に基づく顔面表情変化(脳幹反射)や顎・舌運動の調節

・唾液、消化液(消化器系)、インスリン(内分泌系)の反射的分泌

・味覚情報をより上位の中枢へ送る。

 

大脳一次味覚野の情報や、嗅覚・一般体性感覚・視覚・内臓感覚の情報が二次味覚野(眼窩前頭野)へ伝わる。また大脳一次味覚野から扁桃体(快・不快の判断や情動行動発現を司る)や視床下部(摂食行動に関与)にも情報を送る。

 

摂食行動調節機序と味覚について

「情動に関係する部位」

扁桃体は、おいしい・まずいなどの情動発現に関与する領域である。

味覚入力を情動行動に結び付けるインターフェイスであり、また味覚性情動学習の獲得と保持を行う。

 

報酬系ドーパミン神経系)に関係する部位」

側坐核ドーパミンを受け取る中枢(神経核)の一つであり、やる気や頑張りを司る。

大脳皮質各部や扁桃体からの情報を受け取る役割があり、摂食意欲や情動行動発現に関係する。最終的には視床下部(主に摂食中枢のある外側野)へいくことで食行動をコントロールする。

 

 

味覚の中枢伝導路における味の神経情報処理の考え方について

総神経線維パターン説

複数の味覚神経線維間の興奮の程度のパターンとしての味の情報が送られているとする説である。各線維はいかなる味を伝える場合でも等しく情報伝達機能に参加する。

占有回線説

味覚神経線維の一本一本がどれか1つの基本味を伝えるとする説

 

味の学習について

「生まれつき(生得)の味覚行動」

味による唾液分泌や顔面表情の変化などの反射性応答があり、この反射性応答は生得的で脳幹に中枢がある反射である。

また初めて経験する食べ物を警戒し、匂いを嗅いでみたり、少し口にして味の安全性を確かめようとする行動を新奇恐怖という。

 

「後天的な味覚行動」

経験、学習、記憶などで獲得される。

安全学習:新奇恐怖で警戒してもそれが安全と分かることで躊躇なく食べれるようになる。

弁別学習:食経験が豊かになり、識別能、弁別能が獲得されて微妙な味わいが認知可能になること。

味覚嗜好学習:幸せな記憶とともに食べたものは好きな食べ物になる。 

       (食体験による食嗜好度の更新と上昇)

味覚嫌悪学習:未体験の食物は元から食べ慣れてる食物に対しても強い不快感が伴うと以後それを嫌悪するようになることがあり、一回の経験でも学習が成り立つ。

【歯科医師勉強・生理学】酸塩基平衡について

今回は酸塩基平衡についてお話していこうと思います!

高校で学んだ化学の酸塩基平衡の延長上の範囲だったので、理解しやすいと思うので是非ご覧ください!

 

はじめに

細胞外はアルカリ性で㏗7.4であり、細胞内は㏗7である。

多くの場合代謝産物は酸性であり、細胞外がアルカリ性であること

により細胞内外のH⁺の濃度に勾配が生じて細胞内のH⁺は細胞外に  

移動しやすくなる。このような濃度勾配によるH⁺の移動を

シンク作用という。血液の㏗が低下すると緩和する為に

H⁺がK⁺と交換で細胞内に入る。

 

血液が酸性(㏗が7.35より小さい)になっている状態をアシデミア(酸血症)という

血液がアルカリ性(㏗が7.45よりも高い)の状態をアルカレミア(アルカリ血症)という。

酸血症やアルカリ血症になる病態をそれぞれアシドーシス、アルカローシスという。

(糖尿病性ケトアシドーシス、下剤、嘔吐、呼吸不全など)

これらを起こすものに呼吸性のものと代謝のものがある。

(呼吸性アシドーシス・アルカローシス、代謝性アシドーシス・アルカローシス)

また呼吸性と代謝性が混ざって血液が酸性やアルカリ性になったりするのを混合性という。

(参考)

骨形成に関係するカルシウムやリンも酸塩基平衡と関係しており、血液が酸性に傾くと 骨量の低下をきたす。(歯槽骨など)

 

腎臓からの酸の排泄について

細胞呼吸でCO₂として産生される酸を揮発性酸といい、食事や細胞代謝

(硫酸、硝酸、リン酸イオンなど)で負荷される酸を不揮発性酸という。

酸(H⁺)はいったん細胞外液、さらには血液の㏗緩衝系で緩衝される。

人では炭酸-重炭酸緩衝系が重要でHCO₃⁻が消費される。          

(H⁺+HCO₃⁻⇔H₂CO₃⇔H₂O+CO₂)

揮発性酸(CO₂)は呼吸により肺から排泄され、不揮発性酸(H⁺)は

腎臓から排泄される。(便中へのHCO₃⁻の喪失)

HCO₃⁻の補充は腎臓(集合管)から尿中に酸(不揮発性)を排泄する、

つまり腎臓でHCO₃⁻を新生することにより補われる。

 

 

酸塩基平衡にとって腎臓はきわめて重要な働きをしており、

通常の尿の㏗は中性~弱酸性(㏗6前後)に保たれてる。         

血中に酸が増えると腎臓からはH⁺が排泄されるため、尿の㏗も

下がって、酸性尿となるので血液の㏗の状況が尿の㏗に反映される

ただし、尿は㏗4.5以下にはならないのでH⁺はHPO₄²⁻(リン酸水素イオン)

と結合してH₂PO₄⁻(リン酸二水素イオン)あるいはNH₃と反応してNH₄⁺として排泄される。

尿の㏗の最低値は4.5であり、集合管の管腔測細胞膜は約800倍のH⁺の濃度差に耐えていることになるが、この㏗でもH⁺の排泄量は一日尿中酸排泄量の1%程度に過ぎず、酸排泄はH⁺ではなく、尿の㏗低下(HCO₃⁻の中和)、滴定酸排泄(ほとんどがリン酸イオン)や、アンモニウムイオン排泄によって行われるが、酸負荷に反応して腎臓からの酸排泄を増加されるのは主としてアンモニウムイオン排泄である。なぜなら尿㏗は最高に酸性化されたとしても0.04mEq/Lしか排泄出来ず、これでは負荷されたH⁺の量(50mEq/day)の排泄を行うには不十分である。滴定酸は10~40mEq程度の緩衝能力しか持たないので、3番目のアンモニウムイオン排泄が酸排泄調節機構として最も重要である。

 

 

酸塩基平衡異常の診断ステップについて

(Step1)㏗値に従いアシデミアかアルカレミアかを診断する

     ㏗<7.35(アシデミア)、㏗>7.45(アルカレミア)、㏗=7.35~7.45(正常                  範囲)

(Step2)アシデミアの時

     PCO₂>40mmHgなら呼吸性アシドーシスが原発異常

     PCO₂<40㎜Hgなら代謝性アシドーシスが原発異常

     アルカレミアの時

     PCO₂>40mmHgなら呼吸性アルカローシスが原発異常

     PCO₂<40㎜Hgなら代謝性アルカローシスが原発異常

     ㏗=7.35~7.45(正常範囲)の時

     PCO₂>40mmHgなら呼吸性アシドーシスと代謝性アルカローシスの合併

     PCO₂<40㎜Hgなら呼吸性アルカローシスと代謝性アシドーシスの合併

(Step3)アニオンギャップ(AG)を計算する。(右図参照)

     アニオンギャップとは通常測定されない陰イオンであり

                   硫酸イオン、乳酸イオン、ケトン体などが含まれている。

                   アニオンギャップが上昇していれば不揮発性酸の増加       

                   (代謝性アシドーシス)を考える。またアニオンギャップは

                 アルブミン1g/dl毎に2.3~2.5meq/L変化する。

(Step4)補正HCO₃⁻の計算      

(Step5)代償機構が予測範囲内か         

(Step6)最終的判断、原因病態の検索

【歯科医師勉強・生理学】体性感覚①について

今回は生理学で学んだ体性感覚についてお話していこうと思います!

感覚のメカニズムを理解出来て「そんな感じで感覚って生じてるんや!」って感じになれたので是非ご覧ください!

まず、体性感覚は刺激と感覚受容器の関係で3つに区分される。

機械受容性感覚触覚、圧覚、振動覚表面感覚深部圧覚、固有感覚、振動覚深部            感覚

温度受容性感覚温覚、冷覚表面感覚

侵害受容性感覚:痛覚(表面感覚)、深部痛覚(深部感覚

 

体性感覚の感覚受容器について

温度受容器:自由神経終末

侵害受容器:自由神経終末

機械受容器:自由神経終末  

                      器官化終末:マイスナー小体、筋紡錘、パチニ小体、メルケル触盤

               

体性感覚はほとんどが一次感覚細胞であるが、メルケル触盤は二次感覚細胞であることに注意する。

 

表面感覚について

触圧覚

皮膚表面の弱い刺激によって生じる感覚で、軽く触れたときの感覚を触覚、軽く圧した時の感覚を圧覚という。また数10Hz~数100Hzの繰り返し刺激により生じる感覚を振動覚という。

1.速順応性機械受容器(触覚)

マイスナー小体やパチニ小体、毛包受容器があり、皮膚や粘膜の伸展や変形で発生した感覚が速やかに順応する(持続はしにくい)ことで触れた感覚である「触覚」が鋭敏化される。

 

2.遅順応性機械受容器(圧覚)

メルケル触盤やルフィニ小体があり、順応が遅いために持続的な一次感覚ニューロンの 活動電位が生じて、持続圧に対する「圧覚」が鋭敏化される。

 

「順応性と受容野による触圧覚の受容器の分類」

遅順応性受容器(圧覚受容器)

メルケル触盤(SAⅠ):受容野が狭く、局所的な持続的接触に関わり、  

           表皮基底層(無毛部)にある。

ルフィニ小体(SAⅡ):受容野が広く、皮膚の変形と伸展に関わる。

           真皮下層にある。

 

速順応性受容器(触覚受容器)

マイスナー小体(RAⅠ):受容野が狭く、繊細な触覚である。低周波の振動覚を感じる。

            真皮乳頭部(無毛部)にある。

パチニ小体(RAⅡ):受容野が広く、著しく順応が速い。高周波の振動覚を感じる。

          真皮下層や皮下組織にある。

毛包受容器(RAⅠ):受容野が狭い。毛の動きを感じる。(有毛部)

 

「感覚受容分子メカニズムと刺激エネルギーの感覚情報変換過程」について 

感覚受容器(一次・二次感覚細胞)は、刺激エネルギー(機械刺激、温度刺激、侵害刺激、化学刺激など)をセンサータンパク質(受容体)によって受容している。

この受容体には、代謝型(Gタンパク質共役型)受容体イオンチャネル型受容体がある。

代謝型受容体は視覚、味覚、嗅覚、痛覚(化学物質による侵害受容性感覚)に関わっている。

刺激が来ることで様々な細胞内情報伝達が起こることで、細胞内のCa⁺を放出させることで細胞内の陽イオン濃度を増加させる。これにより脱分極性の起動電位や受容器電位が 起こり閾値に達すると活動電位が起こり、シグナルが伝達していく。

イオンチャネル型受容体は触圧覚、温冷覚、痛覚に関わっている。これはイオンチャネルが刺激によって開いてイオンを通す構造をとる。種類として侵害刺激や温度刺激や機械刺激に関わるTRPチャネルや、機械刺激に関わるPiezoチャネルがある。

 

(補足)Piezoチャネル(触圧覚の受容体)

触圧覚刺激はPiezoチャネル(低閾値機械受容チャネル)によって

受容される。皮膚が押されると機械刺激によりPiezoチャネルが開いて

陽イオン(Na⁺)が細胞内に流入することで電位依存性Ca²⁺チャネルが        図

開口して細胞内のCa²⁺濃度が上昇する。これによりシナプス小胞

開口分泌が起こってシナプス小胞に蓄えられてる神経伝達物質が分泌される。

するとAβ求心性線維(一次感覚ニューロン)で受容器電位が発生して

閾膜電位を超えると活動電位が生じて興奮伝導(求心性伝導路)が起こる。

 

 

温度感覚

温覚(C線維)33℃~42℃、冷覚(Aδ・C線維)16℃~33℃であり、33℃付近の温度刺激で温冷覚は生じず、これを無感温度という。温度刺激を持続させると順応を生じる。

15℃以下、43℃以上で侵害受容性感覚(痛み)が生じる。温度感覚はある種の化学物質  (メンソール、カプサイシンなど)によっても引き起こされる。

温度域によって異なる受容体(TRPチャネル)が関与する。

温覚33~42℃⇒TRPV3・TRPV4チャネル、冷覚16~33℃⇒TRPM8チャネル

痛覚43℃以上(TRPV1)、15℃以下(TRPA1)となる。

TRPスーパーファミリーは6つのサブファミリ―、27チャネルで構成される遺伝子ファミリーであり、TRPチャネルは温度感受性チャネルであるとともに、カプサイシン、メンソールなどの多様な刺激により活性化される。

 

感覚点について

皮膚に点状の刺激を与えたときに周囲より感覚感受性が特に高い部位を感覚点という。

感覚点に対応して受容器が存在する。触点、温点、冷点、痛点がある。

感覚点の分布密度が高いほど感覚の空間的鋭敏さは増す。つまり二点弁別閾は狭くなる。

分布密度は痛点>触点>冷点>温点となっている。感覚点は頭部顔面口腔領域で密度が高く、次いで上肢、体幹、下肢の順になる。特に口腔領域の感覚は鋭く、一次体性感覚野領域も広い

深部感覚には深部圧覚、固有感覚、振動覚、深部痛覚があり、固有感覚における筋・腱の  動きに関連する受容器は筋紡錘、ゴルジ腱器官であるこれらの深部受容器からの求心性信号が深部反射を発現させるとともに上行性に大脳皮質感覚中枢へ伝わり、多様な深部感覚が起こる。

               

体性感覚の求心性(上行性)伝導路について

体性感覚の上行性伝導路には後索-内側毛帯路(後索路)前・外側脊髄視床(脊髄視床路)、三叉神経視床がある。

後索-内側毛帯路(後索路)

精細な触圧覚・深部圧覚の伝導路である。一次ニューロンが脊髄に入り、

同側の脊髄後索を上行して延髄後索核で二次ニューロンシナプス連絡する。  図

二次ニューロンは対側へ交差して内側毛帯を上行して対側のVPL核

3次ニューロンシナプス連絡する。その後3次ニューロン

対側の大脳皮質の一次体性感覚野へ投射される。

 

脊髄視床

温痛覚・粗大な触圧覚の伝導路である。一次ニューロンが脊髄に入り、

脊髄後角で2次ニューロンシナプス連絡して対側へ交差する。

温痛覚を伝えるニューロン側索(外側脊髄視床路)、粗大な触圧覚を    図

伝えるニューロン前索(前脊髄視床路)を上行して対側の

視床VPL核で3次ニューロンシナプス連絡する。3次ニューロン

対側の大脳皮質一次体制感覚野へ投射される。

*1

 

また識別性触覚(精細な感覚)は触れられた部位や物体の性状がわかるような精細な触覚。後索-内側毛帯路が該当する。

非識別性触覚(粗大な触覚)は、何かが触っているのはわかるが、はっきりとした部位や触っているものの性状などが分からない大まかな感覚。前脊髄視床が該当する。

 

ブラウン-セカール症候群について

脊髄は一次、二次ニューロンの上行性伝導路となっているため、

脊髄が完全に切断されると切断側から末梢の感覚機能は全て消失する

脊髄の半側が障害された時の症状をブラウン-セカール症候群という。

障害部位以下で起こる感覚麻痺や運動麻痺の症状があり、同側で

触圧覚障害・深部感覚障害・運動麻痺、反対側で温痛覚の障害が起こる。    

これは触圧覚・深部感覚と温痛覚の伝導路が異なるためである。

切断側は触圧覚や深部感覚の障害(後索路の障害)、運動麻痺(錐体路の障害)

対側では温痛覚の障害(外側脊髄視床路の障害)が起こる。

 

*1:体性感覚の一次感覚ニューロンは偽単極神経細胞で、細胞体は脊髄後根神経節にある。

【税理士勉強】簿記一巡の手続きについて

今回は「簿記一巡の手続き」についてお話していこうと思います!

僕としては中々ややこしく理解するのに時間がかかったので、もしまだ間違えているところがあれば是非ご指摘してください!

まず仕訳について基本的なこととして資産、費用は借方、「負債、資本、収益は貸方」ということをしっかりと押さえておく! それを踏まえた上で下の表を確認していきます!

 

借方

貸方

資産の増加

資産の減少

資産の増加

負債の増加

資産の増加

資本の増加

資産の増加

収益の発生

負債の減少

資産の減少

費用の発生

資産の減少

また前払・前受利息は「収益の繰延」であり、未収・未払利息は「収益の見越し」という。

これらの考え方を問題を通して練習していく。

 

 

(例題1)下記の資料により当期の損益計算書に計上される支払利息の額を求めよ。

「資料」

前期末:前払利息 100千円

    当期中:支払利息の支払額 500千円

    当期末:前払利息 200千円

解答

・まず前期の仕分けだが、利息の前払いを行うとその分支払うべき利息は減る。

つまり「前払い(借方)」の金額は増え、「支払利息(借方)」の金額は減るので、

前払いは借方のままで、支払利息は貸方にいくことになる。

・また期中仕訳では、利息を支払ったら所持してる現金が減る。

つまり「支払利息(借方)」の金額は増え、「現金(借方)」の金額は減るので、

支払利息は借方のままで、現金は貸方にいく。

前期

(借)前払利息100

(貸)支払利息100

当期

 

 

期首再振替仕訳

支払利息100

前払利息100

期中仕訳

支払利息500

現金500

決算整理仕訳

前払利息200

支払利息200

以上のように仕訳が出来るので求める答えは400千円となる。

 

 

(例題2)下記の資料により当期の損益計算書に計上される支払利息の額を求めよ。

「資料」

前期末:未払利息 100千円

    当期中:支払利息の支払額 500千円

    当期末:未払利息 200千円

解答

・まず前期の仕分けだが、利息の未払いがあるとその分支払うべき利息は増える。

つまり「未払利息(貸方)」の金額は増え、「支払利息(借方)」の金額は増えるので、

未払利息は貸方のままで、支払利息は借方のままになる。

・また期中仕訳では、利息を支払ったら所持してる現金が減る。

つまり「支払利息(借方)」の金額は増え、「現金(借方)」の金額は減るので、

支払利息は借方のままで、現金は貸方にいく。

前期

(借)支払利息100

(貸)未払利息100

当期

 

 

期首再振替仕訳

未払利息100

支払利息100

期中仕訳

支払利息500

現金500

決算整理仕訳

支払利息200

未払利息200

以上のように仕訳が出来るので求める答えは600千円となる。

 

 

(例題3)下記の資料により当期の損益計算書に計上される受取利息の額を求めよ。

「資料」

前期末:前受利息 100千円

    当期中:受取利息の受取額 500千円

    当期末:前受利息 200千円

解答

・まず前期の仕分けだが、利息を事前に受け取ると今後受け取る利息は減る。

つまり「前受利息(貸方)」の金額は増え、「受取利息(貸方)」の金額は減るので、

前受利息は貸方のままで、受取利息は借方にいくことになる。

・また期中仕訳では、利息を受け取ったら所持してる現金が増える。

つまり「受取利息(貸方)」の金額は増え、「現金(借方)」の金額は増えるので、

受取利息は貸方のままで、現金は借方にいく。

前期

(借)受取利息100

(貸)前受利息100

当期

 

 

期首再振替仕訳

前受利息100

受取利息100

期中仕訳

現金500

受取利息500

決算整理仕訳

受取利息200

前受利息200

以上のように仕訳が出来るので求める答えは400千円となる。

 

(例題4)下記の資料により当期の損益計算書に計上される受取利息の額を求めよ。

「資料」

前期末:未収利息 100千円

    当期中:受取利息の支払額 500千円

    当期末:未収利息 200千円

解答

・まず前期の仕分けだが、利息を後に受け取ることになると今後貰える利息は増える。

つまり「未収利息(借方)」の金額は増え、「受取利息(貸方)」の金額は増えるので、

未収利息は借方のままで、受取利息は貸方にいくことになる。

・また期中仕訳では、利息を受け取ったら所持してる現金が増える。

つまり「現金(借方)」の金額は増え、「受取利息(貸方)」の金額は増えるので、

現金は借方のままで、受取利息は貸方のままである。

前期

(借)未収利息100

(貸)受取利息100

当期

 

 

期首再振替仕訳

受取利息100

未収利息100

期中仕訳

現金500

受取利息500

決算整理仕訳

未収利息200

受取利息200

以上のように仕訳が出来るので求める答えは600千円となる。

 

【歯科医師勉強】嗅覚と味覚について

今回は前回に引き続き生理学で学んだ内容をアウトプットもかねてお話していきたいと思います。味覚と嗅覚といった身近な内容でとても面白かったので是非ご覧ください!

 

まず感覚受容器にはそれぞれ得意の守備範囲があり、ある受容器に最適な刺激を適刺激という。視覚の適刺激は光、聴覚の適刺激は音、味覚の適刺激は水溶性化学物質、聴覚の適刺激は揮発化学物質である。

 

一次感覚野はそれぞれ対応する脳の部位が異なっており、体性感覚野頭頂葉視覚野後頭葉聴覚野は側頭葉、味覚野頭頂葉嗅覚野は梨状皮質である。

感覚器で受けた感覚情報は皮質の一次感覚野に行って、連合野まで行き、過去の記憶と照合して感覚の性質を認識する。

 

感覚情報は大脳皮質感覚野や視床下部大脳辺縁系に行くことで情動が生じる。

情動は、快・不快、怒りや喜びといった行動を起こすきっかけとなる強い感情のことであり、個体の生命維持に必要な食物や環境を選択する行動の動機づけとなる。

 

味覚と嗅覚について

味覚や嗅覚では、水に溶解した化学物質が感覚上皮に作用することで感覚が生じる。

味覚情報や嗅覚情報は、感覚野や視床下部に到達して特有の感覚や情動が生じる

 

味覚の役割について

味覚の生理的役割として、消化管の入り口としてのゲートキーパーの役割と、栄養物の消化と吸収を促進する役割の2つがある。

前者では、まずいと感じると吐き出し、おいしいと感じるともっと食べようとする。

後者では、中枢神経に伝わってから消化液や唾液の分泌を促進して消化・吸収の準備をする。

 

味覚の分類について

元々は4基本味説であったが近年では5基本味説となっている。

分類として甘味、酸味、苦味、塩味、うま味がある。

甘味はエネルギー源(ショ糖やアスパルテーム)を感知する。

酸味は酸敗物(腐ってるものや、酢酸、クエン酸など)を感知する。

苦味は毒物(カフェインや塩酸キニーネなど)を感知する。

塩味はミネラル源(主にNa⁺)を感知する。

うま味アミノ酸グルタミン酸)や核酸イノシン酸)を感知する。

 

特徴:順応性が高い(ずっと口の中に入れてるとわからなくなる)

唾液のNa⁺濃度より高くないと塩味を感じない。           

 

(注)・アスパルテームはう蝕の原因にはならない。

     ・酸味の強さは、必ずしも㏗に依存しない。

     ・カフェインは中枢神経を刺激することで眠気や疲労感をとる。

      薬の効果を高めるためにも使われる。                                                                               ・単純脂質には中性脂肪などがあり、中性脂肪自体は味がしないと

               されているが、加水分解により生じた脂肪酸口腔内で検知可能

 

味覚の閾値について

水から濃度を上げていった時に水じゃないと感じた時の濃度を検知閾値いい、

甘未などの味覚を感じた時の濃度を認知閾値という。

甘味、塩味に比べて酸味、苦味は低い濃度でも味を検知できる

 

味覚受容器について

味は味蕾構造で感受する。(糸状乳頭にはない)

茸状・状乳頭は鼓索神経(顔面神経)支配で、葉状・有郭乳頭は舌咽神経支配である。

水に溶けた化学物質が味孔に入って味細胞に作用してシナプスを介して伝わり、舌咽・鼓索神経が中枢神経系の延髄の孤束核に入っていき、孤束核から視床を経由して大脳皮質の味覚野へ情報がいく。

 

(参考)味物質の受容と細胞内情報伝達機構について

リガンドがそれぞれの受容体に結合して、Gタンパク質を介してホスホリパーゼCβ2を 活性化することでDAGとIP3産生が増える。IP3は小胞体内のIP3受容体を介して小胞体からのCa⁺の放出を行うことで細胞内のCa⁺濃度が上昇する。これによりTRPM5が開口してNa⁺が流入することで電位依存性Na⁺チャネルが活性化して活動電位が発生する。

活動電位により伝達物質のATPが放出されて、求心性線維にEPSPが生じて興奮に繋がる。(EPSP=興奮性シナプス後電位)

【歯学勉強】感覚について(生理学)

今回は僕が大学で学んでる内容のお話しをしようと思います!

今回については生理学の内容で「感覚」について学んだので、学んだ内容をアウトプットすることも踏まえてお話していくので是非ご覧ください!

 

まず感覚とは生体内外の情報(光、音、化学物質、温度、機械刺激、血中の酸素濃度・グルコース濃度、㏗、浸透圧など)を感知する生体機能である。

五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)の感覚機能によって生体内外の環境変化を感知、性質を評価して適切な行動を発現することで生態を防御し、生体の恒常性を維持する。

 

参考

クラウディウス・ガレヌス→「痛み」は脳機能の1つ

イブン・シーナ→「痛み」と「触覚・温度感覚」は独立した感覚

フォン・フライ→痛みは「痛点」による刺激

 

感覚機能の3つの用語について

 

 

感覚(sensation):内外の環境変化(刺激)を感覚装置により感知して主観的に認めること。

知覚(perception):感受した感覚の強さや質の区別、時間的経過などを認めること。

認知(cognition):いくつかの知覚を総合して、知覚されたものが何であるかを認めること。

(例)

音が来たとわかる→音が旋律を持ってることが分かる→旋律が記憶にある特定の歌と結ぶ

 

感覚情報処理は感覚装置(感覚受容器、上行性伝導路、大脳皮質感覚野)で担われる。

まず刺激(光、音、機械刺激など)が感覚受容器(一時・二次感覚細胞)により受容され、

受容器電位や起動電位が閾値に達すると活動電位となる。つまり物理化学的刺激は電気信号に変換される。この活動電位は上行性(求心性)伝導路に沿って中枢に向けて伝導・伝達を行う。そして、一次・二次・三次感覚ニューロンの三段階で伝わって、大脳皮質感覚野(感覚中枢)に行き、感覚、知覚、認知となる。

 

上行性伝導路(ascending tracts):感覚受容器から大脳皮質までの神経伝達路であり、

(求心性伝導路 afferent tracts)  3つの感覚ニューロンを経て感覚中枢に投射する。

                     ↓

      ・一次感覚ニューロン(末梢):脊髄後根神経節、三叉神経節

                    ・二次感覚ニューロン(中枢):脊髄、延髄

      ・三次感覚ニューロン(中枢):視床

 

 

 

感覚受容器の種類について

  • 機械受容器(mechanoreceptor)
  • 温度受容器(thermoreceptor)
  • 侵害受容器(nociceptor)
  • 光受容器(photoreceptor)
  • 化学受容器(chemoreceptor)

 

感覚の種類について

特殊感覚(special sensation):視覚、聴覚、平衡感覚、嗅覚、味覚であり、順に例として網膜(視細胞)、蝸牛(有毛細胞)、前庭器官(有毛細胞)、嗅上皮(嗅細胞)、味蕾(味細胞)

 

体性感覚(somatosensation):表面感覚は、皮膚(皮膚感覚)や粘膜への刺激であ            り、触覚圧、温冷覚、痛覚などがある。

              深部感覚は、深部組織(筋・筋膜、骨・骨膜、腱、関節など)への刺激であり、深部圧覚、位置受容感覚(固定感覚)、振動覚、深部痛などがある。

 

内臓感覚(visceral sensation):臓器感覚は臓器への刺激であり、飢えや渇き、膀胱                        の充満感などである。

               内部痛覚は臓器への刺激であり、内臓の痛みなどであ                        る。

 

 

感覚受容器と滴刺激について

ある感覚を生じさせるための特定の刺激を滴刺激(adequate stimulus)という。例えば、

視覚(視細胞)の滴刺激は光であり、聴覚(有毛細胞)は音、嗅覚(嗅細胞)は匂いである。

それぞれの感覚受容器は滴刺激に対して最も閾値が低く、また刺激と感覚の間には一般的に特異的な関係(一対一の関係)がある。

各感覚には刺激を受容するための受容器とそれぞれの感覚を引き起こすための固有の刺激(滴刺激)が存在するが、痛覚(侵害性受容性感覚)には滴刺激が存在しない。

これは生体を脅かす多種の刺激ポリモーダル刺激 polymodal stimulus)が侵害刺激となり、痛覚を発生させる。機械刺激、化学刺激、温度刺激、過大な電磁波刺激がある。

 

(参考)

特殊神経エネルギーの法則は、各感覚神経系は受容器から中枢までの神経回路のどこを刺激しても固有の感覚しか起こらないということ。

 

感覚の投射について

ある受容器が刺激されて生じる感覚は、感覚神経の活動電位が最終的に達した感覚野の 部位で生じるが、主観的には脳ではなく刺激を受けた受容器の場所から感覚が生じたと感じる。これを感覚の投射という。受容器から大脳皮質に至る感覚経路のどこが刺激されても、意識される感覚は常に受容器のある場所から生じていると認識される。

幻肢(phantom limb):事故で失った四肢が存在するような錯覚や、温冷感や痺れ感などの感覚を感じる現象。

幻肢痛(phantom limb pain):存在しない四肢から痛みを感じる。

 

感覚受容器の特性について

感覚受容器は感覚細胞ともいい、一次感覚ニューロン(求心性神経線維)の接続様式により一次感覚細胞二次感覚細胞に分類される。

一次感覚細胞は、一次感覚ニューロンの軸索終末が感覚受容器として機能するものである。

(例)嗅覚、体性感覚、内臓感覚

二次感覚細胞は、特殊な感覚上皮細胞(感覚受容細胞)がシナプスを介して、一次感覚ニューロンに接続したもの。(例)視覚、味覚、聴覚、平衡感覚(嗅覚以外の特殊感覚)

 

(注)嗅細胞は一次感覚細胞でもあり、同時に一次感覚ニューロンでもある。

 

受容器電位について

感覚細胞が刺激を受容すると一般的に脱分極性の受容器電位が生じる。

一次感覚細胞では起動電位、二次感覚細胞では受容器電位という。

また刺激強度に応じて活動電位の頻度が変化することを符号化(coding)といい、活動電位の発生頻度が高いとき、感覚強度は強くなる

 

起動電位の場合

・感覚ニューロンの神経終末で刺激を受容し、脱分極が生じる。(起動電位)

・刺激の強弱は、起動電位の振幅の大小に変化される。

・起動電位が閾膜電位を超えると活動電位が発生する。

・刺激の強弱は活動電位の発生頻度に変換される。

 

受容器電位の場合

・感覚受容細胞が刺激を受容し、脱分極が生じる。(受容器電位)

・刺激の強弱は受容器電位の振幅の大小に変換され、伝達物質放出量が変化する。

・一次感覚ニューロンシナプス後電位が発生し、閾膜電位を超えると活動電位が発生

・刺激の強弱は活動電位の発生頻度に変換される。

 

感覚の順応について

一定の強さの刺激が持続的に与えられると感覚の強さが次第に減少する現象である。

 

嗅覚や味覚などは順応が速い

頸動脈小体・大動脈小体化学受容器、頸動脈洞・大動脈弓圧受容器、前庭器官の有毛細胞などは順応が遅い。理由として、これらは持続的に身体の状態を中枢神経系に送り続ける 働きをしており、生体機能を維持するために必要であるためである。

痛覚(侵害受容性感覚)は順応しない

 

 

Webnerの法則について

神経刺激強度が起動電位・受容器電位の振幅に置き換えられ、さらに一次感覚ニューロン活動電位頻度に変換されることで、生じる感覚の主観的な強さが決定される。

この刺激と主観的な感覚強度の関係を示す法則をWebnerの法則という。

Webnerの法則は重量感覚や他の感覚にも当てはまり、Webner比は感覚の種類によって 異なる。Webner比は値が小さいほど敏感であることを示す。

 

〈特徴〉

・感覚は主観的なもので、感覚の大きさは相対的に測定される。

・Webnerは二個の物体の重量を比較する実験を行い、刺激強度Rと弁別閾ΔRの比は一定であることを見出した。(ΔR/R=K Kは定数:Webner比

・2つの刺激の強さの差を識別可能な最小の値を弁別閾という。

 

 

受容野について

感覚ニューロンは末梢で分岐して多数の感覚受容器を支配する。個々の感覚ニューロンが刺激を受容することのできる末梢器官上での空間的範囲を受容野(receptive field)という。

大きな受容野では広範囲における変化の検出を可能にするが、知覚における空間的精度は低下する。(パチニ小体)

小さな受容野では知覚における空間的精度が高く、指先のように詳細な構造の検出能力が必要な部位では、小さな受容野を持つ機械受容器が密集している。(マイスナー小体)

 

(参考)

2点を同時に刺激したときに2点を識別できる最小距離を二点識別(弁別)閾という。

受容野が狭いということは、二点弁別閾が小さいということである。