【歯学勉強】感覚について(生理学)
今回は僕が大学で学んでる内容のお話しをしようと思います!
今回については生理学の内容で「感覚」について学んだので、学んだ内容をアウトプットすることも踏まえてお話していくので是非ご覧ください!
まず感覚とは生体内外の情報(光、音、化学物質、温度、機械刺激、血中の酸素濃度・グルコース濃度、㏗、浸透圧など)を感知する生体機能である。
五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)の感覚機能によって生体内外の環境変化を感知、性質を評価して適切な行動を発現することで生態を防御し、生体の恒常性を維持する。
参考
クラウディウス・ガレヌス→「痛み」は脳機能の1つ
イブン・シーナ→「痛み」と「触覚・温度感覚」は独立した感覚
フォン・フライ→痛みは「痛点」による刺激
- 感覚機能の3つの用語について
- 感覚受容器の種類について
- 感覚の種類について
- 感覚受容器と滴刺激について
- 感覚の投射について
- 感覚受容器の特性について
- 受容器電位について
- 感覚の順応について
- Webnerの法則について
- 受容野について
感覚機能の3つの用語について
感覚(sensation):内外の環境変化(刺激)を感覚装置により感知して主観的に認めること。
知覚(perception):感受した感覚の強さや質の区別、時間的経過などを認めること。
認知(cognition):いくつかの知覚を総合して、知覚されたものが何であるかを認めること。
(例)
音が来たとわかる→音が旋律を持ってることが分かる→旋律が記憶にある特定の歌と結ぶ
感覚情報処理は感覚装置(感覚受容器、上行性伝導路、大脳皮質感覚野)で担われる。
まず刺激(光、音、機械刺激など)が感覚受容器(一時・二次感覚細胞)により受容され、
受容器電位や起動電位が閾値に達すると活動電位となる。つまり物理化学的刺激は電気信号に変換される。この活動電位は上行性(求心性)伝導路に沿って中枢に向けて伝導・伝達を行う。そして、一次・二次・三次感覚ニューロンの三段階で伝わって、大脳皮質感覚野(感覚中枢)に行き、感覚、知覚、認知となる。
上行性伝導路(ascending tracts):感覚受容器から大脳皮質までの神経伝達路であり、
(求心性伝導路 afferent tracts) 3つの感覚ニューロンを経て感覚中枢に投射する。
↓
・一次感覚ニューロン(末梢):脊髄後根神経節、三叉神経節
・二次感覚ニューロン(中枢):脊髄、延髄
感覚受容器の種類について
- 機械受容器(mechanoreceptor)
- 温度受容器(thermoreceptor)
- 侵害受容器(nociceptor)
- 光受容器(photoreceptor)
- 化学受容器(chemoreceptor)
感覚の種類について
・特殊感覚(special sensation):視覚、聴覚、平衡感覚、嗅覚、味覚であり、順に例として網膜(視細胞)、蝸牛(有毛細胞)、前庭器官(有毛細胞)、嗅上皮(嗅細胞)、味蕾(味細胞)
・体性感覚(somatosensation):表面感覚は、皮膚(皮膚感覚)や粘膜への刺激であ り、触覚圧、温冷覚、痛覚などがある。
深部感覚は、深部組織(筋・筋膜、骨・骨膜、腱、関節など)への刺激であり、深部圧覚、位置受容感覚(固定感覚)、振動覚、深部痛などがある。
・内臓感覚(visceral sensation):臓器感覚は臓器への刺激であり、飢えや渇き、膀胱 の充満感などである。
内部痛覚は臓器への刺激であり、内臓の痛みなどであ る。
感覚受容器と滴刺激について
ある感覚を生じさせるための特定の刺激を滴刺激(adequate stimulus)という。例えば、
視覚(視細胞)の滴刺激は光であり、聴覚(有毛細胞)は音、嗅覚(嗅細胞)は匂いである。
それぞれの感覚受容器は滴刺激に対して最も閾値が低く、また刺激と感覚の間には一般的に特異的な関係(一対一の関係)がある。
各感覚には刺激を受容するための受容器とそれぞれの感覚を引き起こすための固有の刺激(滴刺激)が存在するが、痛覚(侵害性受容性感覚)には滴刺激が存在しない。
これは生体を脅かす多種の刺激(ポリモーダル刺激 polymodal stimulus)が侵害刺激となり、痛覚を発生させる。機械刺激、化学刺激、温度刺激、過大な電磁波刺激がある。
(参考)
特殊神経エネルギーの法則は、各感覚神経系は受容器から中枢までの神経回路のどこを刺激しても固有の感覚しか起こらないということ。
感覚の投射について
ある受容器が刺激されて生じる感覚は、感覚神経の活動電位が最終的に達した感覚野の 部位で生じるが、主観的には脳ではなく刺激を受けた受容器の場所から感覚が生じたと感じる。これを感覚の投射という。受容器から大脳皮質に至る感覚経路のどこが刺激されても、意識される感覚は常に受容器のある場所から生じていると認識される。
幻肢(phantom limb):事故で失った四肢が存在するような錯覚や、温冷感や痺れ感などの感覚を感じる現象。
幻肢痛(phantom limb pain):存在しない四肢から痛みを感じる。
感覚受容器の特性について
感覚受容器は感覚細胞ともいい、一次感覚ニューロン(求心性神経線維)の接続様式により一次感覚細胞と二次感覚細胞に分類される。
一次感覚細胞は、一次感覚ニューロンの軸索終末が感覚受容器として機能するものである。
(例)嗅覚、体性感覚、内臓感覚
二次感覚細胞は、特殊な感覚上皮細胞(感覚受容細胞)がシナプスを介して、一次感覚ニューロンに接続したもの。(例)視覚、味覚、聴覚、平衡感覚(嗅覚以外の特殊感覚)
(注)嗅細胞は一次感覚細胞でもあり、同時に一次感覚ニューロンでもある。
受容器電位について
感覚細胞が刺激を受容すると一般的に脱分極性の受容器電位が生じる。
一次感覚細胞では起動電位、二次感覚細胞では受容器電位という。
また刺激強度に応じて活動電位の頻度が変化することを符号化(coding)といい、活動電位の発生頻度が高いとき、感覚強度は強くなる。
起動電位の場合
・感覚ニューロンの神経終末で刺激を受容し、脱分極が生じる。(起動電位)
・刺激の強弱は、起動電位の振幅の大小に変化される。
・起動電位が閾膜電位を超えると活動電位が発生する。
・刺激の強弱は活動電位の発生頻度に変換される。
受容器電位の場合
・感覚受容細胞が刺激を受容し、脱分極が生じる。(受容器電位)
・刺激の強弱は受容器電位の振幅の大小に変換され、伝達物質放出量が変化する。
・一次感覚ニューロンでシナプス後電位が発生し、閾膜電位を超えると活動電位が発生
・刺激の強弱は活動電位の発生頻度に変換される。
感覚の順応について
一定の強さの刺激が持続的に与えられると感覚の強さが次第に減少する現象である。
嗅覚や味覚などは順応が速い。
頸動脈小体・大動脈小体化学受容器、頸動脈洞・大動脈弓圧受容器、前庭器官の有毛細胞などは順応が遅い。理由として、これらは持続的に身体の状態を中枢神経系に送り続ける 働きをしており、生体機能を維持するために必要であるためである。
痛覚(侵害受容性感覚)は順応しない。
Webnerの法則について
神経刺激強度が起動電位・受容器電位の振幅に置き換えられ、さらに一次感覚ニューロンの活動電位頻度に変換されることで、生じる感覚の主観的な強さが決定される。
この刺激と主観的な感覚強度の関係を示す法則をWebnerの法則という。
Webnerの法則は重量感覚や他の感覚にも当てはまり、Webner比は感覚の種類によって 異なる。Webner比は値が小さいほど敏感であることを示す。
〈特徴〉
・感覚は主観的なもので、感覚の大きさは相対的に測定される。
・Webnerは二個の物体の重量を比較する実験を行い、刺激強度Rと弁別閾ΔRの比は一定であることを見出した。(ΔR/R=K Kは定数:Webner比)
・2つの刺激の強さの差を識別可能な最小の値を弁別閾という。
受容野について
感覚ニューロンは末梢で分岐して多数の感覚受容器を支配する。個々の感覚ニューロンが刺激を受容することのできる末梢器官上での空間的範囲を受容野(receptive field)という。
大きな受容野では広範囲における変化の検出を可能にするが、知覚における空間的精度は低下する。(パチニ小体)
小さな受容野では知覚における空間的精度が高く、指先のように詳細な構造の検出能力が必要な部位では、小さな受容野を持つ機械受容器が密集している。(マイスナー小体)
(参考)
2点を同時に刺激したときに2点を識別できる最小距離を二点識別(弁別)閾という。
受容野が狭いということは、二点弁別閾が小さいということである。