【歯科医師勉強・生理学】嗅覚と味覚(3)
今回はこれまでの嗅覚と味覚の続きについて学んでいきました!
匂いの不思議についていろいろと学べたので、前回までの内容をまだ見ていない人は下のリンクから是非ご覧ください!
utti-memorandum.hatenablog.com
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では早速見ていきましょう!
生物は、所有する味覚受容体によって食行動が規定されており、どのような味覚受容体を持つかによってその生物にとっての「おいしいもの」が決まる。
また、味覚は絶対的な感覚ではなく、体液組成の変化により味覚の感受性も変化する。
近年では一部の味蕾細胞に摂食関連ホルモンの受容体の発現を確認され、ホルモンが味応答に影響を与えることが分かった。
嗅覚の役割・特徴について
遠隔性化学感覚の役割には食料の探知・異性の探知・親子の認識・天敵の存在・強力な記憶・快/不快の情動と感情を誘導がある。
また嗅覚の特徴として、個人差が大きい・順応が早い・訓練により識別能力が上がる・高感度の識別能があるなどがある。
嗅覚の一般的性質について
『匂い物質と基本臭について』
匂い物質:分子量20~400以下の揮発性化合物である。匂いの質は非常に複雑でうまく 分類出来ないが、分子の濃度や構造の違いが匂いに影響することは分かっている。
匂いの性質:濃度の変化や混合臭となることにより匂いの質が変化する。人間の嗅覚は成分濃度の対数に比例する。
悪臭物質の種類として硫黄化合物、窒素化合物、低級脂肪酸、アルデヒド類、炭化水素類が
ある。
嗅覚受容体は、似た構造をもつ複数の匂い分子に結合することができ、またほとんどの匂い
分子は何種類かの受容体を刺激できる。
嗅覚の一般的性質について
匂いの閾値に影響するものとして測定方法、測定技術、鼻粘膜の血管の収縮、鼻粘膜の分泌
の程度、月経周期、加齢、喫煙習慣などがある。
『口臭について』
口臭の原因として嫌気性バクテリアが生じる硫化水素、メルカプタエタンがある。
これらは、唾液分泌減少・薬物・喫煙やアルコールを要因として起こる口腔乾燥による
低酸素状態によってバクテリアが活性化することで産生される。
『嗅上皮と嗅覚の受容』
嗅上皮にある約600万個ある嗅細胞で匂い物質を感受する。
嗅細胞には細い長い樹状突起、嗅小胞、多数の嗅繊毛、無髄神経線維がある
無髄神経線維は嗅球の糸球体へ連絡する。吸気が上鼻道を通ることで匂い分子が嗅神経を
刺激することをオルソネーザル匂い知覚という。
嗅覚の受容と神経情報処理について
『匂い分子の受容と細胞内シグナル伝達』
匂い受容体である7回膜貫通型Gタンパク質共役型受容体は、嗅覚特異的Gタンパク質α
サブユニットと共役する。これはアデニル酸シクラーゼⅢを活性化させてcAMP産生を
亢進させることでcAMP依存性陽イオンチャネルが活性化し、Na⁺やCa⁺が細胞外から
細胞内に流入する。そして閾上刺激で活動電位が発生して糸球体へ伝達される。
『匂い情報の中枢処理について』
1細胞-1受容体規則:嗅細胞の1つ1つはそれぞれ396種類ある受容体から1種類を選んで発現することで、これが嗅細胞の応答特性を決定している。
1受容体-1糸球体規則:1つの糸球体に収束する嗅神経線維は同種の受容体を発現した 嗅細胞に由来することで、各種の匂いは嗅球で活動する糸球体の組み合わせで決まる。
『嗅覚中枢経路』
嗅細胞は神経細胞であり、神経細胞を伸ばす軸索が集まって嗅神経となる。
嗅神経は大脳嗅球の僧帽細胞や房飾細胞(二次ニューロン)へ接続する。そして嗅皮質へ 行き、視床へ連絡して嗅覚の最高次中枢の大脳皮質嗅覚野へ行く。